暁 〜小説投稿サイト〜
DIGIMONSTORY CYBERSLEUTH 〜我が身は誰かの為に〜
Chapter2「父を探して 山科悠子の依頼」
Story7:初仕事はご近所回り
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俺はコーヒー豆を買いに。というか、挨拶回りをしにきたんです」

「挨拶回り? 君、どこかで働くのかい?」

「えぇ、暮海探偵事務所で、助手として」

「え、暮海さんのトコの助手? 暮海さん…助手、雇ったの?」

「はい。それで今日は暮海さんに頼まれて、挨拶回りを兼ねて豆を買いに……」


 そう言っている途中で、カウンターにいる男性―――エプロンを付けているから、店長さんだろうか―――の様子が、変わっていくのに気がついた。


「……あんなけしからん美人を、ためつすがめつ、いつでもいつまでも眺めてられるなんて……うらやましい……いや、けしからん…実にけしからん…!」


 えぇ……なんかさっきまでは、少し男前なマスターって感じしてたのに、今の発言で台無しになったな。まぁ暮海さんが美人だってのは、俺でもわかることだが。

 すると近くにいたメイド服の女性が、表情を暗くしてマスターを見ていた。


「……マスター」

「うん…何だい?」

「ひょっとして、わたしのこともそんな目で…?」

「………は?」

「やだ、フケツ…キモチワルイ……わたし、今日限りで辞めさせていただきます!」

「え……えぇッ!?」


 な、なんかマスターの発言が、凄い事に発展してるんだが……というか周りの客も、冷ややかな目でマスターを見てるし……


「今月のバイト代は満額で。あと、いやらしい目で一年と8ヶ月見られ続けたぶんを慰謝料として請求しますから。
 ……あ、お客さん、『コーヒー豆』が欲しいのよね?」

「あ、はい」

「杏子さんは、いつもこの豆を買っていくわ。はい、どうぞ♪」


 しかし急に女性から話しかけられ、袋詰めされたコーヒー豆を受け取った。『特選コーヒー豆』って書いてあるな。
 え、いや…というより、そっちの話はもういいの?


「ちょ、ちょっと、サっちゃん!? 急に辞めると言われても、俺、困っちゃうよ…!」

「…そうですか? それじゃあ…交渉しましょうか、マスター」

「こ、交渉…何を…?」

「何って…もちろん時給です、お・時・給♪ すっとぼけるつもりなら、法に訴えちゃいますよ? ―――せ・く・は・ら・で♪」

「ヒギィ…!?」


 ……な、なんか凄いことになったな。大丈夫かな、あのマスター。
 しっかし、中々個性的な二人だな。一方は男前なくせに変態チックで、一方は腹黒な一面を持ってる……これを個性的と呼ばずなんというだろうか。

 まぁそれはそれとして、頼まれた「コーヒー豆」は手に入った。依頼の品を依頼人―――暮海さんに届けるとしよう。


「ありがとうございましたぁ♪ 今後とも「K−カフェ」をごひいきに♪」


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