本編 第二部
「沈黙する世界」
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風がここまで斬り裂かんばかりに吹き付けてくる。ここはドラゴントライアングルの目の前、超法規的電撃大作戦の司令塔、空母『いずな』のメインデッキだ。そこには八人の運命によって結集した集団がいた。作戦名「いかずち」その一命によってこの場にいる人間たちは動いている。もはやあれから十日経った、全世界にこの巨大ハリケーンのニュースは飛び交い、ハリケーンは上陸すればその大陸はこの世から消え去るほどの勢力をもつようになった。ハリケーンが動けば、国が幾千も滅びることになるだろう。
十日もの間、雨雲は世界を覆いその雨は止むことなく振り続けている、このままではノアの箱舟の時と同様、世界は海に沈没し全ての生き物が死に絶える。
もはや世界は滅亡の瀬戸際に立たされていた。
政界はあらゆる超法規的処置によってここに最高の軍隊を派遣している。宗教界はあらゆる宗教団体がこの地に霊的拘束力を与えている。すなわち、世界中の宗教によっておりなす多重結界だ。だからハリケーンはここから微動だにできず今に至る。
「いま、まさに決戦の時が来た。ここからは何が起こるか分からない。みんな頼むぞ!」
「いよいよですね。風の匂いがなにか変です。嗅いだことがない。のに昔から知ってるような」
「嵐の時はいつもそう。でもこれほど巨大なものになると」
「まるで神と対峙してるよう」
「嵐を抜けたらそこは別世界だ。注意しろ!」
「豊村様、戦闘機の用意できました」
兵士が風のなかで叫んだ。
「伊佐、なにがあってもおまえとそのお友達は守り抜くから。それにしても本当に良いお友達を持ちましたね」
「お母さん、ありがとう。出来たのは友達だけじゃないんだ。その、私の恋人だ。藤沢賢治だ」
「あなたがまあ、ハンサムじゃない」
「お前がわたしの娘を・・・・・・・、おい、自慢の娘にもしもの事があったら分かってるんだろうな。その時は世界が終わるまえに八つ裂きだ!」伊佐のお父さんだ。違う意味で気合いが入りまくってる。
「わ、分かってますよ。娘さんには傷一つ付けさせませんから」
「よく言ったあ。傷一つでもあったらただじゃおかねえ!」
「あなた!それ以上やるならわたしが相手になりますよ」
「まったくよさんか秋炭、お前は娘の事になるとどうしてこう我を忘れる!」
伊佐のじいさんも元気だ。
「伊佐のお父様、大丈夫です、この不良は絶対伊佐さんには寄せ付けませんから」友恵だ。まだ根に持ってる。腰の波影の太刀がきらめいてる。
「なんや賢ちゃんはここへ来ても痴話喧嘩かいな、盛んでよろしゅうこって」
「高次!?おまえなんでここに!?」
そこにいる高次はなにか様子が違った、まるでどこかの大御所のような立派な和服を来た神様のようだ。
「おま、どうしたんだそれ」
「なんや、賢ちゃんまだ気づかんのか、わいはこれ
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