暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第二章 天空の大陸 アルビオン
エピローグ:懺悔
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胸に顔を埋めた。

「わた、わたし、は、おう、じょです、から!なくこと、は、ゆるされない、んです・・・!!」

 胸の中で嗚咽混じりに言うアンリエッタ。架はその頭を優しく撫でた。

「王でも、苦しい時や辛い時は泣いたっていいんですよ。貴女は王女である前に、一人の女の子なのですから・・・。」

 もしかしたら、俺はこれを彼女に言ってやりたかったのかもしれないな・・・。

 そんなことを思いながら、架は目の前の少女が泣き止むまでずっと撫で続けた。








 一方こちらでも、己の任務の失敗を謝罪する者がいた。

「失態であるな、ワルド。」
「・・・申し訳、ありません。」

 薄暗い室内の中、ワルドが机に腰掛ける一人の男に頭を下げていた。カールした金髪のこの男こそが、レコンキスタの総司令官のオリヴァー・クロムウェルである。
 クロムウェルは声こそは落ち着いているものの、その視線は直接見ていなくとも相手の心臓を締め付けるかのようだった。部屋中にピリピリとした空気が充満する。
 そんな中・・・、

「まあまあいいじゃねえかよオッサン。そのお姫様の手紙ってヤツはちゃんと手に入れたんだからよぉ。」

 総司令官をオッサン呼ばわりするのはランサー。申し訳なさそうに項垂れるワルドに対し、ヘラヘラ笑う彼をクロムウェルはギロリと睨み付けた。

「ランサー、そもそも君があのセイバーをきちんと足止めできていればこんな結果にはならなかったと思うんだがね。」
「仕方ねえだろ、武器が折れちまったんだからよ。そもそも、あんな安っぽい武器でどうこうしろってのが無理な話だったんだよ。」
「その安っぽい武器というのは君が何度もダメ出しして何度も作り直させたあの槍のことを言っているのかね?」

 因みに実際槍は「折れた」のではなく「折った」のだが、そんなことはこの場で彼以外が知る由もない。
 どこまでもこちらを軽視した態度に、クロムウェルの眉間も険しくなっていく。第三者からすれば部屋の室温が若干低下していくように感じられるほどだ。

「ランサーもういい、下がれ。」
「へいへーい。」

 耐えかねたワルドがランサーに退室を命じた。実体化したまま部屋を出ていき、バタンとドアが閉まると同時にクロムウェルはため息をついた。

「失礼しました、クロムウェル殿。」
「あれで戦力としては十分すぎる分、性質(タチ)が悪いな。」
「ええ、結果がどうあれ彼はセイバーに深手を負わすことに成功しています。もし足止めではなく倒せと命じれば・・・」

 勝てる、と断言しようとするワルドに対し、クロムウェルはゆっくりと首を振った。

「倒してしまっては困るのだよ。私が欲しいのは虚無の担い手、そしてその使い魔なのだからね。」
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