暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
解かれる結び目 14
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たせいで力が入らない体では遠くへ行くこともできず。
 数歩進んだ先で、がくんっと膝を折ってしまう。

 正面からまともに転けた裸体は、既に祝福を失っていて。
 砂や小石や枝で、あちこちに無数の傷を刻んでしまった。
 痛い。
 でも。

『お前を介して扉を開こう。俺を呼べ、マリア。そちらの世界へ』

「いやああっ!!」

 頭の奥に響く声が怖くて、痛みどころじゃない。

 どうして声が聴こえるの!? 何故!?

「落ち着け、一族の末裔よ」

「ひぃっ……!?」

 頭を抱え、うつ伏せで縮こまる私の肩に、誰かの手が触れた。
 反射的に身を起こして後退る。
 鼓動が限界まで速まり、呼吸が乱れて詰まり、視界が霞む。

 目の前に、誰かが居る。
 レゾネクトなの!?

「いや……っ! 来ないで! 私に触らないで! もういやぁああああ!!」

 指先で地面を(えぐ)り、掴んだ物を誰かに投げつける。
 誰かは気にするでもなく、やれやれと肩を持ち上げ

「眠れ。その間に、終わらせてやる故」

 素早く私に歩み寄り、私の額に手のひらを押し当てた。
 恐怖で悲鳴を上げそうになって。
 急に、思考がぼんやりする。
 背中から倒れそうになる私を、誰かの腕が支えた。

「ぃや、だ……。も……やめ、て……、殺、し…………、て…………」
「物騒な娘だ」

 誰かの苦笑いを耳にして。
 私の意識は、そこで途切れた。


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