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逆さの砂時計
解かれる結び目 14
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上の眩しさで目が焼かれそうになった。

「こ……こ、は……?」

 降り注ぐ陽光を片手で(さえぎ)りながら、細目で辺りを見回す。
 背が高い木々に囲まれたここは……、森? 山奥?
 さわさわと涼やかに波打つ木の葉の歌が、耳に心地好い。

「……ふ、……ふふっ……」

 外だ。
 私が知ってる世界。
 勇者一行が元居た世界。
 光と生命が溢れる場所。
 アルフ達が命を懸けて護ったもの。

「ふふふ……は、はは……! あははは!」

 何故だろう?
 ここに居ると全身で知覚して、認識した瞬間に、笑えてしまった。
 何故笑っているのか、自分で自分が解らない。

「あははは……はは、は…………」

 笑いたい衝動と同時に、目尻から零れた涙が。
 頬から顎へ、顎から胸元へと伝い落ちた。
 直接肌に触れた雫は、不思議と熱くも冷たくもない。

「はは……、っふ ぅ、う……」

 あっという間に光を受け入れた瞳で、空を見上げる。

 真っ青だ。
 雲一つない、どこまでも続く青い空。
 それを包む、鮮やかな緑色。
 今は懐かしい、生まれ育った神殿を思い出す。
 子供の頃からずっと見ていた、美しいもの。

「う……ううぅ…………あっ、ぅあ、あ……っ」

 歪む。
 視界が歪んで、包まれて、分離して、また歪む。
 涙が景色をさらって、地面へと落ちていく。

「……────っうああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁ!!」

 世界は続いてる。
 レゾネクトが消えた世界は、ちゃんと続いてた。
 アルフ達が護ったんだ!
 アルフ達が護りたかったものは、今もこうして護られている!!

 ……だけど。

「ああああああああぁぁああっ!!」

 アルフ達はもう、いない。
 ここは、私が護りたかった世界の半分でしかない。
 もう半分は、欠けてしまった。
 失われてしまった命は、二度と……戻らない。

「あああ……あ、ぁ…………」

 苦しい。
 喉が裂けてしまいそう。
 暖かいのに、とても寒い。
 寒いのよ、アルフリード。
 光なんか射したって……ちっとも嬉しくない。

「……アル、フ……」

『外へ出たのか、マリア』

 !?
 レゾ……!?

『まだ答えを得ていない。マリア……俺はお前を』

 なんで。
 どうして、居ない筈のレゾネクトの声がするの!?

『逃がさない』

「ひっぃ、いや……っ! いや! 来ないで! もういや! いやああ!!」

 全身に絡みつく見えない手を感じ。
 翼と羽根を放り出して、当てもなく駆け出す。
 長時間犯され続け
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