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逆さの砂時計
解かれる結び目 14
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「殺さなきゃ……殺さないと、皆が!」

 どうしたら良い?
 自分を殺す道具はここには無い。
 自分を傷付ける武器が何も無い。
 自分でお腹を殴る?
 階段を転がり落ちる?
 でも、それで本当に殺せるの?
 レゾネクトが見つける前に、確実に殺す方法は……

「……外……」

 自分の言葉にハッとする。

 ここじゃ何もできない。
 自分を殺すことも、子供を殺すことも、レゾネクトを討つことも。
 でも、私に流れてくる子供の力を使って外へ出れば。

 少なくとも、レゾネクトに『空間』を越える力は無い筈。
 それができるなら、とっくに外へ出てるだろうから。

 レゾネクトは、常にこの空間に居た。
 あの男はここから出られない。
 レゾネクトの特性は判らないままだし。
 道が出来てしまうのは大問題だけど。

 それでも、この場所で、この子供を産むわけにはいかない。
 絶対に、それだけは避けなきゃダメ。

「出なきゃ……この空間を出なきゃ!」

 レゾネクトが気付いてしまう前に、ここを出て、子供ごと私を殺す。

 そう……そうだ。
 子供の力を使って外に出た後、一緒に死のう。
 私が外に出るせいで、完全確実な閉鎖性を欠く結果になるとしても。
 この力がここにあるほうが、よほど危険だ。

「あっ……、翼! 翼も、羽根も持っていかなきゃ……っ」

 アルフは、翼の一部である羽根を鍵にして、閉じた空間に入ってきた。
 私より高位の神の力を持っていたから、私の力に干渉できたのだとして。
 レゾネクトにも、同じことができてしまうかも知れない。
 悪魔に神の力は使えないと思うけど。
 どういう理窟か、あの男は世界樹の力を自身の力として振るっている。
 可能性は残しておきたくない。

 玉座の間の気配を探って……見つけた。
 折られた翼と、アルフが使った羽根。

 よろよろと立ち上がり、まずは近くにあった羽根を拾う。
 少し離れた場所に瞬間移動し、床に両膝を突けて片翼を抱え上げる。
 他に、私と繋がる力は無い、筈。

 動揺する心を、深呼吸で静め。
 固く目蓋を閉じて、頭に思い浮かべる。

 旅を通して見た景色。聴いた音。肌に触れた風の冷たさと温かさ。
 眩しい光が満ち溢れている場所。

 外へ……私達が元居た世界へ、どうか連れて行って。
 新たなる、『空間』を司る神よ!



 空気が変わった。
 気配が変わった。
 風が流れだした。
 魔王に挑んだ当初と比べて、少しだけ伸びた私の髪が。
 さらさらと揺れ動いて、一糸纏わぬ肩を撫でる。

「…………っ」

 目蓋の向こうに光と熱を感じて、ゆっくりと視界を押し開き。
 想像以
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