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逆さの砂時計
解かれる結び目 14
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 レゾネクトに犯されながら生き続けるなんて嫌!
 一人きりで生き続けるなんて嫌なのよ、アルフリード!!

「もう殺して! 私を死なせて! 貴方の傍に居させて、アルフリード! アルフリード!!」

 声も形も温もりも失って、心さえも寄り添わせてくれない。
 これが『罰』?
 神々の意思に背いてアルフに触れた、私への罰なの!?
 だけど……!!

 とくん

「アルフ……っ…… ……え?」

 とくん

「な、に?」

 お腹が……温かい。
 とくん、とくん、と、自分の物じゃない小さな脈動を感じる。

 柄を落とし、頭を抱えていた両手でお腹を触り……言葉を失う。
 体の中から、二つの光が溢れてる。

 全身に散っていた、薄い水色と純白の光が腹部に集中し。
 螺旋を描きながら何かに吸い込まれて消え。
 数秒後。
 そこから放たれた薄い緑色の光が、玉座の間全体を淡く照らし出した。
 それは、ほんの一瞬のこと。

「………………ぐ、ぅ!?」

 再び闇に染まった空間の中で愕然とする私に、突然。
 寒気を伴う強烈な吐き気が襲いかかった。
 全身に嫌な汗が流れる。
 両手で口元を覆い、込み上げるものをなんとか抑えて……

 気付く。
 気付いて、しまった。

「あ、……ああっ……!」

 力。
 私以外の力が、私の中に、居る。

 神々の祝福を、私から受け継いで取り込んだ、新しい命。
 天神(てんじん)の一族最後の一柱になった筈の私に宿る、新しい神。
 しかも、これは。

「そんな……そんな!!」

 私と同じ、『空間』を司る力だ。
 私の胎内に居るから、伝わる。
 失った片翼を補って余りある『空間』への干渉力が、私にも流れてくる。

 私の力が、遺伝してしまった。
 私の……子供に。

「だめ……! 私以外の神は、きっともう、世界のどこにも居ないのよ!? こんな力、レゾネクトに知られてしまったら!」

 新しい命。
 私の子供。
 神々の祝福と共に、『空間』を司る力をも受け継いでしまった新神(あらがみ)

 こんな所で産まれたら、レゾネクトが興味を示すに決まってる。
 最悪、レゾネクトに利用されてしまう。
 この命で。
 この力で。
 この空間の扉が開かれてしまう。
 レゾネクトが、元の世界に戻ってしまう。

 私に、それを止める術は無い……!

「だめ。それだけは、絶対にダメ!」

 コーネリアが。
 ウェルスが。
 アルフリードが護った世界に、レゾネクトがまた現れる。
 それじゃ貴方達が何の為に命を懸けたのか本当に解らなくなってしまう。

 産まれてはダメ。
 この力だけは、絶対に、産まれてはいけない
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