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る可能性は皆無。
野垂れ死ぬより前に森を抜けようとするが、木ばかりの景色は未だに晴れない。
事態は深刻だ。 だがそれよりもだ…不可解で、無視出来ない事柄が自分の頬で疼いていた。
「うぅ……お腹空いたよぉ…頬も痛いし……」
自分の頬がなぜか猛烈に痛かった…。
“顔の左半分”が痛くてたまらない……。
ちょっと前にいつの間にか気絶していて、起きた時には既に頬がパンパンに腫れ上がっていた。
まるで、攻城兵器を正面からもろに受けたかのような、そんな痛み。
しかし、なんでこうなったか…気絶する前の記憶がなかった。
誰かに会ったような…そしてとても可憐で、気合の入った咆哮を聞いた……ような気がするんだけど、衝撃と共に記憶から抜け落ちていた。
誰に会ったのか、そもそも人だったのか、それともそもそも何もなかったのか…それすらわからない。
繰り返すけど、これが本当に痛い……これだけは、この頬に叩きこまれた事実である。
「う〜…このままじゃ死んじゃうよー…!」
頬の痛みでめげてしまいそうだ。
このままでは餓死するか獣のエサになるか、あるいは両方か…今回ばかりはヤバイかもしれない。
戦場で置いて行かれて、転んだところを面制圧の矢の雨に晒された時くらいダメかもしれない。
痛い思いをしながら丸一日は彷徨ってたけど、どこを行けども森ばかりだ。
ああ…こんな事なら、森を抜けずにちゃんとした陸路でも海路でも使えばよかった。
いや、どうせなら多少安くても傭兵以外の仕事で雇ってもらった方がよかったかも。
それか、どうせ食糧がダメになるのならせめて美味しい物を食べてから、今後の事は計画を立てて行動すればよかっただろう。
それから、それから……それ、から……?
「あれ…?」
ふと、現実逃避しつつある頭の中で、一つの疑問が浮かび上がった。
―――そもそも……自分は、デトワーズ皇国に向かっているのだろうか…?
「……まさか」
そのまさかだ。
今この時、その可能性が浮かび上がって、今かいてる汗とは別の冷や汗が流れる。
そうだ…食糧が日毎にダメになっていって、最終的には買い込んだ分は全部失われて…物凄く焦った。
その上、“何かがあって”気絶して…空腹のせいか思考力が低下したため、切羽詰まっていて方向を確認する事も忘れていた。
もしかしたら……もしかしたらだ…。
自分は、グルグルと森の中を迷っていて…もう抜け出せない深みにハマっているのではないのか?
「うっ……」
つまり……遭難、確定…?
「…うわああぁん!」
そんなの
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