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「はひぃ…はひぃ………」
鬱蒼とした森、生い茂る藪、道なき道が広がる緑。
およそ人が通るために出来ていない自然のフィールド。
人が通りたければ人が通れるように道を作ってそこを行くものだ。
そこをあえて通ろうとするのはよっぽどのお馬鹿か脳天気な命知らずだろう。
例え冒険者でもそんな事はしない。
だけどそんな森の中、一人いた。
というか自分である。
「こ…ここはどこー!?」
―――そして自分は絶賛迷子中だった。
―――。
なぜこんな状況に陥っているか…まずは迷子になっている自分の事を説明しなければならない。
自分は、 レヴァンテン・マーチン―――いわゆる傭兵である。
ただし…“立派な“、とは付かない。
傭兵の職が立派じゃない、というわけじゃなくて、傭兵としては酷く…質が悪かった。
その結果、この森を進む羽目になっている。
そして遭難しかけている。
「はひぃ…はひぃ……あぁ、ツいてないよぉ…」
いくら愚痴を口にしても誰もそれを聞いてくれる人はいない。
彼は始めから一人でこの森を突き進もうとしていた。
理由は二つほどある。
一つは、彼は金がなかった。
正確には無くはないのだが、それでも余裕があるわけでもなく、次の稼ぎどころを見つけなければ野垂れ死ぬのが目に見えていた。
次の戦場…次の雇い主を探して、大勢の中の傭兵の一人として参加して、最低でも参加分の報奨はもらわないといけないのだ。
しかし、自分でも何だけど…傭兵歴はそんなに浅くはない。 国々を旅して、紛争の噂のある土地を巡っては傭兵として雇われた。
だけど、どこでも雇い主の…というより現場での評価はだいたいにしてこうだ。
―――役立たず。
単純にしてシンプルな事に、自分は全くもって強くない。
それこそ年下の力自慢にすら負けるくらいだ。
それに加えてドジな上に、ノロマなのだ。 戦場で置いてかれて、孤立して何度も死にそうな目にあっている。
だから…雇われたとしても、雇う側からすれば『一回で十分』という扱いなのだ。
強い者、集団で優れてる者、地位がある者などなら雇用は続いたり士官の道もあるのだけれど、自分にそういう評価を得られる事はなかった。
一回参加すれば次の戦場へ…そういう生活をずいぶんと長く続けている。
さて、自分がどうしてここにいるのか…そのもう一つの理由がそこにある。
「デ…デトワーズはまだなの〜……?」
―――大陸の辺
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