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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第197話 死の正体
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今は思ってるよ」
キリトの言葉を訊いて、リュウキは綺堂の話を思い返す。
『皆さんも同じ気持ちだと思います』
その言葉。その《同じ》と言う意味の中には、きっとキリトも 自分と同じ苦しみを思い続けている。……1人じゃないから、1人じゃないからこそ、立ち上がる事が出来る。向き合う事が出来るんだ。
「……シノンには、言ったと思う。オレは1人じゃ、本当の意味では凄く弱い。……傍に居てくれたから、今のオレが、オレ達がいるんだと、思っているよ。これまでも。……これからも」
それまで、黙って訊いていたシノンは、表情を更に落とした。
「受け止め……考え……、1人じゃないから……」
キリトが言った言葉を、リュウキが言った言葉をしきりに呟いていた。理解しようと、させようとしながら。だけど……、どうしても 首を縦には振れなかった。
「私、私には、そんな事……出来ない。 わたし、わたしは……ひとり、だった。あのときから、ずっと……」
父を失って、精神が逆行してしまった母。そんな母を守る事を、常に意識してきたんだ。そして、強盗を撃ち殺したあの日。……自分は1人だった。守るべき人である母からも、あの時だけは、畏怖の念を向けられていた。……そこから、ずっと1人、だったんだ。
「……何処で分岐点が来るのか、判らないんだ」
そんな時だ。シノンの表情から、言葉から悟ったリュウキが声をかける。
「オレも、ずっと1人だった。……いや、厳密には育ての親はいたけれど……それでも、1人、だったんだ」
シノンは、それを訊いて……リュウキの顔を見た。
「……光を失って、闇をずっと彷徨っていた。10年間。唯一の光は親だけだった」
シノンは、自分とリュウキの姿をこの時、重ねる事が出来た。……事情の詳細は恐らく違うだろう。でも、境遇には似た気配を感じた。
「ずっと他人を拒絶してきたオレに、心の底で、本当は全員を敵視をしていたかもしれなかったオレに、ずっと手を伸ばし続けてくれる人がいた。……後はオレがその手を掴むだけだったんだ。 でも、中々掴む事は出来なかった、よ」
そのまま、リュウキは手を伸ばす。
「シノンも、ゆっくりで良い。ゆっくり、一歩ずつで良いから、先を目指そう。それに、何度だって言う。……オレは幾らでも、シノンの手を握る。オレは学んだんだ。手は、戦う為だけじゃない。……誰かと繋ぐ事にも意味があるんだから」
リュウキはそう言うと、キリトを一瞬だけ見た。キリトもそれを確認すると、軽く笑い……、そして 手を差し出した。『同じ気持ちだ』と言っている様に。
……後出しは格好がつかないな、とも考えていた様だが、今はそんな事を考えている場面じゃないだろう。
「っ………」
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