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SAO−銀ノ月−
第八十五話
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 不幸中の幸いといったところか、大黒柱への第一射でシノンの存在を認識したことにより、その第二射は《弾道予測線》が発生。その予測線に重なるようにAA−12を発射することにより、シノンのスナイパーライフルの弾丸を空中で撃ち落とす……いや、撃ち落とそうとした。どれくらい離れているか分からないほどの距離だろうと、民家の大黒柱を粉砕する威力を持ったソレには、ただの弾丸では通用しないのだ。

 ――だが俺の放った弾丸もただの弾丸ではなく。シノンの弾丸を巻き込んで爆発し、その爆風で持って弾丸の威力を相殺する。小型グレネードとも例えられる、このAA−12用の特殊弾丸《FRAG-12》で何とか相殺というその威力に肝を冷やす。

 第三射が来る前に態勢を整えると、端末にはシノンが後退していく姿が映し出されており、その光景を最後に端末は光を消す。サテライト・スキャンの効果時間が切れたらしく、これでまた他プレイヤーの位置を見るには15分の時間が必要となる。

「シノンが向かったのは……橋か」

 先程まで映し出されていた端末の記憶を頼りに、後退するシノンの位置を推察する。俺を仕留められずに位置を把握されため、俺への狙撃を取りやめて、すぐさま他の狙撃地点まで移動したのだろう。その職人を思わせるような即断即決さは、是非とも見習いたいところだったが、今はこちらにとっては厄介なことこの上ない。
 シノンの位置はこちらにはまるで分からない上に、分かったところでこちらに打つ手はない。だがシノンは、いつでも――本人からすればそうでもないのだろうが――こちらを狙撃することが出来る。《銃士X》のいる場所まで向かおうとした瞬間、後ろから狙撃されてもおかしくない……実際にどうであろうと、そのプレッシャーをこちらは受け続けることになる。

「関係ない……か」

 先程、即断即決さを見習いたい、などと思ったばかりに弱気な。そんな自分に自嘲しながら、俺は撤退するシノンを追うことはせず、銃士Xがいるというエリア中央へと歩を進めていき――


「〜〜♪」

 ――《死銃》はその目的のために暗躍する。山岳地帯で口笛を吹いて座り込みながら、その踊り子は楽しげに足をばたばたさせる。

「みんな、上手くやってくれるといいんだけど……ね」

 手に持った《黒星》を子供のように構えながら、彼女はただそうして笑うのみ……
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