第八十五話
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の片隅に残るその不安を取り除いていると、その間に15分が経過していたらしい。……このフィールドに向かう際にも思ったように、今更考えていてもしょうがないのだ。
リズが俺を信じて送り出してくれたように、俺だってリズが無事であることを信じる。リーベや《死銃》にどんな事情やどんな正体があろうが、その凶行はキリトと二人で止める。……それだけの話なのだから。
「……よし」
気を取り直すと、俺は大会開始前に配られていた端末を確認する。衛星から送られてくるサテライト・スキャンの結果が端末に映し出され、真っ先に《死銃》候補とキリトの位置を確認する。キリトと共に自分に最も近い者を追跡し、それぞれ直接会って問いただす。
「……《銃士X》」
サテライト・スキャンの端末に映った中で、一番俺の位置に近い《死銃》候補のプレイヤーの名を小さく呟く。エリアの中央にある廃墟都市におり、他プレイヤーと戦闘中なのか激しく動いている。他の《死銃》候補の場所も探すものの、ここからはどうも遠い場所にいる……特にあの踊り子の場所を注視するが、その光点は山岳地帯から動こうとはしていない。そちらより銃士Xの方が近い以上、リーベの方は後回しだ。
「…………」
……しかしその端末に少し、引っかかる場所があった。フィールド全域を見渡している筈のその端末だったが、《死銃》候補のプレイヤーが一人映っていなかった。確かその名前は――
――と考えている間に、メキリ、という嫌な音がその空間を支配した。それとともに窓が破損する音、視界がぐらりと揺れる感覚――何が起きているか瞬時に判断すると、隠れ家として潜伏していたその民家から素早く脱出する。
その直後、民家は致命的な音を響かせながら崩壊。元からそうであったかのように、土煙をたてながらただの廃墟へと成り果てていく。一秒でも脱出が遅れていたら、自分もその下敷きになっていたことは想像に難くないが、そんな感傷に囚われている場合ではない。
「くっ!」
土煙の中、赤い銃弾を示す線が俺の胴体へと向く。無理やり民家から飛び出したことにより態勢が整っていなかったが、半ば強引にAA−12をその弾道の予測線へと向け、数発同じ軌道になるように発射する。
――民家の中で見ていた端末に映っていた、俺があの民家を脱出する契機になった契機。それはここから一直線の距離に位置している、森林エリアにいた一人のプレイヤーを示す光点――シノン。
彼女が別のエリアから俺が隠れていた民家の大黒柱を撃ち抜き、民家を一撃で倒壊せしめたのだ。サテライト・スキャンの端末のおかげで、何とかシノンと狙撃の可能性には気づいたものの、既にその時には大黒柱は撃ち抜かれた後。早くも脱出したものの、その崩れた態勢を狙って素早く第二射が迫る。
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