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SAO−銀ノ月−
第八十五話
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あまり個人的には歓迎出来ないフィールドからのスタートだった。


 そのためまずは、他のプレイヤーに注意しながら、自分と愛銃《AA−12》の戦いやすいフィールドに向かいたいところ……だが、今回の目的は勝つことではない。あくまで今回の目的は、《死銃》とリーベを――もしかすると、それらは=かもしれないが――止めること。《死銃》の正体が分かるならば、自ずとその謎の攻撃の正体にその現実も見えてくる。

 ならばまずは、隠れながら15分の経過を待つこと。15分が経過するとともに、このフィールドの上空を見つける衛星によるサテライト・スキャンが発生し、フィールドにいるプレイヤーの居場所が分かる。リーベか《死銃》候補のプレイヤーを見つけることが先決だ。

「…………」

 ただ15分間そこに立っているだけでは殺してくれ、と言っているようなもので、まずは民家に隠れて最初の15分を窺う。近くのいかにもな民家に近づき、古びたドアを開けると、中からは木の腐ったような匂いが漂ってくる。……そういえばこの世界は荒廃していた、と思い出しながら顔をしかめて、それでもその民家の中に身を潜めた。

「ふぅ……」

 あまり落ち着ける場所ではないものの、それでもまずは一息。この決勝トーナメントに出場する前にあった、かの踊り子ことリーベとの会話を反芻する。《SAO失敗者》と名乗った理由と、ついでに目前で放たれたAA−12を軽々と避けるほどの、その人並み外れた機動力の正体も判明した。

 ……恐らく彼女は、《ナーヴギア》を使ってログインしている。

 世間一般に普及している――もちろん今も自分が使っている《アミュスフィア》は、あのデスゲームを間違っても再現しないように、SAOに使われた《ナーヴギア》よりもリミッターがかけられている。その分ナーヴギアの方が動きがダイレクトに伝わり、アバターの動きをよくさせる。キリトがALOであそこまでの活躍できたのも、それが理由の一端であるだろう。

 彼女の語った理由が真であろうが嘘であろうが、その動きは《ナーヴギア》を使ってのものなのは間違いないだろう。現実に帰ったら、真っ先に回収を担当していた菊岡さんに文句を言ってやると決意しながら、さらに思索を深めていく。

 ……彼女はリズのことを知っているのか。俺の関係のある話と聞いて、リズベットというという名が出て来るということは――やはり、今すぐにでもログアウトしたくなる感情に駆られるが、それを奥歯を噛みしめて何とか踏みとどまる。彼女が……《死銃》がキリトや自分のことを知っているのだから、リズベットという名を知っていてもおかしくはない。ただの自分を混乱させるための策だと、そう……思うしかない。

「くそっ……」

 ならばその策は成功したと言っていいだろう。どうしても頭
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