第八十五話
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を踏む。
「そうかな? でもショウキくん、ウチ、どーしても気になってることがあるんだ!」
そう言うと踊り子は一足飛びで俺に近づくと、耳元でそのメッセージを残して背後に歩いていく。
――お兄ちゃんはどうやって殺されたのかな、と。
「適当なモンスターに殺されたのかな? ボスモンスターに殺されたのかな? トラップに殺されたのかな? 自殺したのかな? それとも――人間に殺されたのかな?」
「……もう黙れ」
彼女ともう会話出来る自信もなく、俺はリーベとの話を打ち切るべく逆方向に歩こうとする。彼女の歪みは分かったが、それを修正する気もしてやる義理もない。
「ごめんごめん、そんなことショウキくんには関係なかったよね。うーん、そうだな……ショウキくんに関係することなら……リズベット、っていう女の人知って――」
リーベの音は廊下に響いた銃声にかき消された。俺の右手に持たれているAA−12が、天井に向けて火を噴いたのだ。もちろんSAOで言う圏内であるため、天井にダメージなど欠片もないが――その銃口を、今度はリーベへと向ける。
「……リズが、なんだって?」
ここでリーベに向かって引き金を引こうが、どうやっても彼女にダメージを与えることは――殺すことは出来ない。それでもAA−12は、彼女をピタリと捉える。
「あぁ……初めて、初めてウチに殺気を向けてくれたよね、ショウキくん! ありがとう、気持ちいぃ……続きは、また、ね?」
歓喜に打ち震えたような最上の笑顔とその言葉を残すと、リズのことを問い詰める間もなく、彼女は近くのエレベーターへと乗り込んでいく。決勝戦の舞台への転移装置を兼ねたエレベーターのその駆動は、決勝戦が開始することの証。喫茶店で別れた後に現実の里香に何かあったのか、何故リーベがリズのことを知っているのか――俺は一度ログアウトするかどうかを迷ったが……迷いを振り切るように首を振ると、リーベと同じようにエレベーターに乗り込んだ。
リズがどう関わっていようが、迷っている暇はない。《死銃》だろうと《SAO失敗者》だろうと、彼女に手を出そうとするなら誰であろうと同じことであり、リーベは今この世界にいる。先程天井に撃った分の弾丸をリロードしながら、自分がやるべきことを覚悟する。
「ナイスな展開なんて、口が裂けても言えないが……」
……ただ、命がけの戦いに参加する理由は出来た。弾丸のリロードを終えながらそう考えていると、エレベーターは俺を決勝戦の舞台に送り届けた。
森や砂漠、市街地に川――何でもありのフィールド《ISLラグナロク》の湿った風が俺を出迎える。そのスタート地点はのどかな田舎のような景色が広がっており、どうやら《田園地帯》のようである。見晴らしのよく足場の悪い、
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