第1回 (粒咲あんこ・火向井ゆり
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「うおっ、また懐かしいものが出てきたな………」
久し振りに実家に帰った俺は、自分の部屋で必要な物を探しているうちに懐かしい物を発見した。
「スーパーファミコン………」
「今日の授業はここまで」
チャイムとともに生徒達の空気が柔んだ。
「明日の土日は久々の休みだゆっくりしとけよ〜」
星守として地球奪還の為に何時も苦しい訓練や実践をしてきた彼女達の束の間の休息。
「さて、俺も帰ってビール飲んでゲームにしゃれ込むか………」
それはその彼女達の担任をしている俺も例外じゃなかった。
「ん………?」
そんな中、皆が帰り支度をしている中で熱中して雑誌を読んでいる粒咲あんこの姿が目に入った。
「珍しいな………何時もスマホばっかり弄っているあんこが雑誌なんて………」
彼女は人気のあるブロガーらしい。尤も俺はそういうのに興味はないので詳しくは分からないが、スマホやパソコンと共にいる事が多い彼女が雑誌を読んでいる姿が意外だった。
(何を読んでるんだ………?)
気になった俺は遠目に覗いてみる事にした。
相手に警戒されない様に自然を装い横目で覗いてみる。
『昔のレトロゲーム特集。ファミコン、スーパーファミコン!!』
「へぇ懐かしいなぁ………」
「ふぇ!?」
思わず溢れた言葉にあんこは全身を使って真っ青な顔で驚いていた。
そこまで驚く必要ないと思うが………
「せ、先生何してんの………?」
「いいや、悪い悪い。雑誌見てるあんこが珍しくて何読んでいるんだと思ったんだけど………へぇ、ファミコンならまだしもスーパーファミコンももうレトロ扱いか………時代だなぁ」
「もう製造おろか中古も僅かだけ。地球にはあるのかも知れないけれどこのコロニーでは幻のゲームになってるのよ。だけど最近………」
そう言いながら別のページを見せる。饒舌に話すあんこの姿は珍しい。
「へぇ……『WiiUで懐かしのゲームをプレイ』か………今はこんなのがあるんだな」
「それでレトロゲームの特集ってわけ」
そう言いながらとてもやりたそうな目で雑誌を眺めるあんこ。
「でもわざわざダウンロードしてまでやる必要ないな。俺のスーファミも古いし、コントローラーも中の電線が見えるけどまだ全然動くし………」
「え………?」
そう俺が言った後、あんこは物凄い形相で俺を見つめていた。
「あ、あんこ……?」
「せ、先生スーパーファミコン持ってるの……?」
「あ、ああ………」
「しかも……まだ動くの………?」
「あ、ああ………」
あまりの迫力に空返事しか返せない俺を機にする事なく俯きながら震えるあんこ。
「あ
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