九十一話 エントリー
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カマじゃねえか」
「ちょっ!?兄貴それは酷いだろ!?」
「してる事はまさしくそうでしょ」
「いやだから悪かったって……」
キリトをはさんで、シノンとリョウが口々に彼を責め立てていた。
原因は単純。キリトとシノンが一緒に居る理由と、何故かやたらシノンがキリトにキレ気味な態度を取る理由をリョウが訪ねたからだ。
結論から言うと、シノンのキレようも無理はない事情だった。キリトは自分の容姿からシノンが自分を女だと勘違いしたのを良い事に、彼女にそのまま街の案内や、買い物のアドバイスをさせたのだ。
いくら勘違いしたのが彼女の方だとは言え、流石に怒られても文句は言えない。
ちなみにアイリは爆笑をこらえるように必死に口を押さえて体をくの字にしてぴくぴくと震え、話せそうにない。何やらつぼったらしい。
そしてその隣には……
「しゅ、シュピーゲルさん!助けてくれないか!!?」
「え、えぇーと、僕に言われても困ると言うか……正直、僕もシノンが怒るのは正当だと思います」
「当然よ」
「通理だな」
「うぐ……」
銀髪を流す感じに伸ばし、背の高い軽装のプレイヤーがそこに居た。
彼は名をシュピーゲルと言う。シノンとアイリの知り合いで、アイリ曰く、シノンはリアルでも知り合いらしい。
なお、何やらシノンとあるのか、少々キリトに警戒の色を含んだ視線を向けているが、安心しろと言いたいところだ。こいつはもう嫁まで決定しているようなものだし。
と、そんなことを話していた時だった。
それまで流れていた重々しいメタルのBGMが急速にフェードアウトし、代わりに荒々しく、猛々しいエレキギターのファンファーレが鳴り響いた。プレイヤー達が一斉に天井の巨大スクリーンに目を向ける中、女性タイプの合成音声の声が響く。
『大変長らくお待たせいたしました。只今より、第三回バレッド・オブ・バレッツ予選トーナメントを開始いたします。エントリーされたプレイヤーの皆様は、カウントダウン終了後に、予選第一回戦のフィールドマップに自動転送されます。幸運をお祈りいたします』
歓声と、拍手が鳴り響き、天井に向かって銃撃とレーザーが巻き起こる。音の嵐の中で、リョウはキリトに言った。
「負けんなよ?」
「あぁ、やってやるさ」
「ふぅーん……」
その様子を、シノンが腕を組んで立ちあがり眺めていた。明らかにキリトを睨んでいる。
「なら、決勝まで上がってくるのね。その頭すっ飛ばしてやるから」
シノンとキリトは互いにFブロック。それも決勝で当たる取り合わせだ。睨んだ視線に、キリトはさらりと返す。
「デートのお招きとあらば、参上しない訳にはいかないな」
「こっ、この……!」
「なーに格好付けてんだか」
顔を紅潮させたシノンと、二ヤッと笑うキリ
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