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SAO─戦士達の物語
九十一話 エントリー
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チな少女らしい高さの少し心配したような声が聞こえた。
聞こえたらしく、誰かが嘲笑したのが聞こえたが、特に気にせずリョウはかえす。

「あぁ。かなり」
ニヤリと笑いながら言ったリョウに、ふふっ、と小さく笑った後、アイリは歩き出した。

既にそれぞれミリタリージャケット等を身に付けているリョウ達二人は、アイリにリョウが続く形でスタスタと歩く。

「ん〜……」
「おーい……」
アイリは何やら人を探している様子で、キョロキョロと辺りを見回しながらテクテクと人の間を縫うように歩いて行く。と……

「へぇ……」
ふとあることに気付いてリョウは関心したように小さく呟いた。

周囲から向けられてくる異常なほどに相手の情報を得ようとするような観察眼が、自分と比べ、前を歩く小柄な少女に対してかなり強く向けられて居るのだ。

もはやそれは観察眼を通り越して強い戦意を感じさせるそれで、中には膝の上の銃から、威嚇するようにわざと音を立てて排莢する者まで居る。まあ……

『それやってる時点でなぁ……』
それをしている男は詰まるところこの時点でメインアームないしサブアームを見せつけて居ることになるわけで、先程アイリから聞いた話からも分かるとおり、わざわざ自分の情報を相手に与えている事になる。

これは彼のそれがミスリードでない限り、おそらく彼の精神状態が浮ついて居る事を示している訳であり、また他の連中に関してもそれ程警戒する必要も無かろうとリョウは踏んでいた。

相手から異常なほど情報を得ようとするこれらの視線は、少し極端だが突き詰めて見れば、彼らが“そんな”情報に頼ろうとする程大会に対して内心緊迫していることを示しているとも取れる。
“そんな”と言うのはまあ……無駄だと言う意味だ。ベテランならば基本的にアイリの言う通り、外見だけで対策出来るようなへまはそもそも踏む訳が無いのだから。

『やれやれ……』
溜め息が出そうになるのを抑えつつ、リョウはアイリの後ろに続く。と……

「あ!」
目的の人物を見つけたらしいアイリが、タタタッ!と駆け足で何者かに近寄って行く。小走りでそれを追ったリョウの目の前で……

「シ〜〜ノ〜〜」
彼女は自分に背を向けて座る。水色の髪の誰かに……

「ノンッ!!」
「きゃぁっ!!?」
嬉しそうに抱きついた。

「おーいおい……」
何やら面倒な事になりそうな感じがして、嫌そうな顔をしながらリョウはアイリに近付く。と……

「あれ?兄貴?」
「あン?」
その水色髪の目の前、向かい側の位置に、見慣れ……てはいないものの見知った顔が居た。

「キリトじゃねぇか。お前もエントリー出来たみてぇだな。なによりだ」
「そっちこそ。ブロッ
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