暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第194話 ただ1つの選択
[8/10]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
いてこなくなる。
再三と、トリガーを絞ろうと指を動かすが、やはりどうしても残り数mmが埋められない。まるで、へカートが……、長く連れ添ってきた相棒が自分を拒絶しているかのようだった。
だが、それが違う事には直ぐに気づく。へカートが拒絶をしているのではなく、自分自身が拒絶をしているのだと言う事に。
――強い意志を持った者に相応しい。
かつて、そう言われた。……だが、今の自分はそれとは程遠く、弱々しい。強さなど欠片も無くなっている。
スコープを覗く前には、少しの力が戻ってきた、と思ったのに。
「……撃てない」
詩乃、シノンはそう呟いた。
「撃てないの。……指が動かない。私……もう、戦えない」
言葉こそ、上手く発せられる様になったのだが、心と身体がまるでついて来なかったのだ。それが、指先に顕著に現れている。だが、キリトは。
「いや、撃てる!!」
即座に強く、厳しくシノンの背中に打ち据えた。
「戦えない人間なんかいない! 戦うか、戦わないか、その選択があるだけだ! あいつだって、絶対にそう言う! 最後の最後まで、絶対に諦めない!」
ライバルに、そう言われた。そして、ここにはいない、今も自分を庇って戦ってくれている彼の事を考えると……キリトの言葉が真実だと思えた。だが、それでもシノンの心の火は僅かに揺らいだだけだった。
――私は、戦わない方を選ぶ
もう辛い思いはしたくない。戦った事で、温かさを知れた。……だけど、それを覆い尽くすかの様に心が蝕まれたんだ。そして、何より……あの男は自分自身の罪。
――だから、自分に温りを求める権利なんか無い。このまま……。
シノンの視界が再び黒く染まろうとしていたその時だ。
『心に巣食った痛みは、簡単に取れるモノじゃない』
再び、光が差した。なぜ、今あの光が……? あの声が響いてくるのだろうか。それが……判らなかった。
「!!」
キリトは何かに気づいた様だ。
「シノンっ!! 掴まれっ!!」
ハンドルを思い切りきると、メインストリートの右車線に飛び込んだ。そちら側は、廃車が多く、障害物となっており、走行が非常に困難となっている。シノンもそれに気づき、なぜ? と思っていたその時!
黄金色の空がメインストリートを照らしていたが、影が映ったのだ。
その影は見る見る内に大きくなり……そして丁度、キリトが走っていた場所に、がしゃんっ!! と言う音と共に着地した。それは、自分達が乗っている三輪バギーだ。
「遅い、遅刻だぞ!? リュウキ!!」
キリトは、その姿を見ながら 大きな声でそういった。
「それは、お互い様だ
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ