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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第193話 温かい背中
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次元を切り裂いたかの様に現れたのは、あのぼろマントの男だった。
そして、シノンは同時に理解する事が出来た。
あの男がなぜ、ここにいるのかを。……どうして、この場所にあいつがいるのか。……どうして、衛星に映る事が無かったのかを。
――メタマテリアル光歪曲迷彩!
あのぼろマントが使用していたと思われるそれは、装甲表面で光そのものを滑らせ、自身を不可視化にするという、謂わば究極の迷彩能力だった。人間の視覚では捉えるのは困難を極める。故に、あれは一部の超高レベル、ネームドMobだけに搭載されている、持っている特殊能力だけだったはずだった。なのに……あの男はそれを持っていたのだ。それを使用する事で、容易にあの軽業スキルが高く、装備も超軽量に抑えているペイルライダーに接近し、そして撃ち抜いた。
――……自分にもあの弾丸を撃ち込んだ。
そして……何よりその後だった。シノンは自分自身の眼が、捉えたそのモノを見た瞬間に世界が止まったかの様な錯覚に見舞われたのは。
……これが現実を受け入れようとはしなかった、受け入れたくなかった。
そんな事態に見舞われたのだ。
「キリト、そして、リュウキ。……黒の、剣士、……鬼。お前たちが、本物か、偽物か、これではっきりとする。あの時、猛り狂ったお前たちの、……一瞬で、仲間、を何人も葬った、お前を、覚えている、ぞ。この女を……、仲間を殺されて、同じように狂えば。……鬼が現れたのなら、お前たちは、本物、だ。……さぁ 見せてみろ。お前達の怒りを、殺意の剣を、狂気の剣を、……もう一度、オレ達に、見せてみろ」
それらの言葉事態は、シノンにほとんど理解することが出来なかった。ただ……、理解出来たのは ぼろマントが自分自身を殺すと言う事。光迷彩なんていう文字通りの隠れ蓑に頼っている様な奴が自分自身を殺すと言う事実に、怒りの炎が弾ける思いだった。
見えてない所に隠れていて、一方的に攻撃する。臆病者以外の何者でもない。電磁スタン弾はまだ盛んにスパークを生んでいるが、命中しているのが左腕だからか、右腕であれば、辛うじて動かすことが出来る。脳からアミュスフィアへ、全力で運動神経を送るかの様に、念じ、そして動かし続けた。
その思いが、システム的な麻痺を超えたかの様に、じりじりと右手が動き始めた。
ここまでは、良かった。……後は、全力で腰に下げているサブアームである《グロッグ》を撃ち払うだけだ。安全装置は勿論存在している。が、極低確率で、暴発する危険性よりも、咄嗟に抜き、撃てる状態にしている方が実戦的なので、シノンは勿論、他の大多数のプレイヤーは外したままにしているのだ。
――必ず、撃つ。……このまま、殺さ……っっ!!
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