妖精の法律
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間一髪で避けるラクサス。黒い球体は地面につくとバウンドすることもなく小さな穴を作りその場に留まった。
「砲丸か・・・」
ラクサスは自分に飛んできたものを見てそう言う。その隙にノーランは地面に着地し体勢を整える。その上着の袖に少し引きちぎられたような後が見受けられる。
「自分の服の一部を砲丸に変えたのか」
「そういうこと、便利なもんだろ?」
そう言うとノーランは闘技場の砂を掴む。ノーランの魔法は人間以外のものを違うものへと変えることのできる魔法。ラクサスはノーランがどれだけのものまで変えることができるのかはわかっていない。
だがノーランもラクサスが雷の滅竜魔法を使うということしかわかっていない。おまけに大鴉の尻尾のメンバーが如何せん弱かったためにラクサスがどこまでの実力を持っているのかもよくわかってはいない。互いの魔法のレベルがわかっていない現段階では五分と五分と言えるだろう。
「確かに便利ではあるが、相手を仕留めるには力不足だな」
「そう思うか?ならこれは?」
ノーランは砂を握りしめていた手を開く。そこから空に向かって黒い影が飛び立つ。ラクサスはそれに気をとられ顔をあげてしまう。
「カラス?」
ラクサスの視界に映ったのはなんてことのない至って平凡なカラス。そのカラスはラクサスに攻撃するどころか空に飛び立ったままどこかへと飛んでいってしまう。
「なんだ?何したかったのかわから―――」
ラクサスは視線を元の位置に戻すとそこには誰もいない。そこにいたはずのノーランがいなくなってしまっている。それによりラクサスは悟った。あのカラスは囮なのだと。
「しまっ―――」
ラクサスは後ろを振り向こうと体を反転させるがそれよりも早く顔に固いものがめり込む。
「ぐっ!!」
ラクサスは倒れながらも相手の姿を確認しようと片目を開く。その目に捉えたのは自分を殴り飛ばしたノーランではなく、続けざまに自分を襲う足しか見えない。
「かはっ・・・」
不意打ちのパンチに加え同じ場所に入る蹴り。ラクサスの視界は歪み、口の中に鉄の味が広がる。
ドンッ
ラクサスはそのまま闘技場の壁へと叩きつけられる。
シリルside
「ん?」
俺はじっと見つめていた闘技場から何か音が聞こえたような気がし、そちらに視線を動かす。だけどそこには何もない・・・ように見える。
「どうした?」
「何か見えたか?」
グレイさんとエルザさんが俺が視線を動かしたことに気づきそう質問してくる。
「いや・・・別に・・・」
「なんか今聞こえたな」
俺が首を傾げて幻のラクサスさんとアレ
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