月下に咲く薔薇 4.
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「おっ! 俺の水も増量セールだったか? 沢山入ってるぞ」と皆から見えるように透明なコップを目の高さまで持ち上げる。
「そりゃ水だからな。量くらいなくっちゃ、取りに行った俺が惨めになる」
「ありがとう、エイジ。旨い水だ」
腕を交差してポーズを決め、クロウはエイジに礼を告げた。
「それは、水の味じゃなくて、無料の有り難さだろ?」
「勿論!」
仲間達がどっと笑う。そして、空気はようやく爽快さ取り戻した。
更に間が良く、ここで大山が会議室のドアを開ける。
「もしかしたら私が最後なの?」
既に着席しているミシェルとクラン、飲み物に口をつけなが寛いでいるロックオンやクロウ達を見回し、大山は余りの集まりの良さに驚いて立ち止まった。
「他にやる事がないから来ただけさ。気にしないでくれ」
ロックオンがこちらの事情をそのまま告げ、大山をくすりと笑わせる。
「じゃあ、手を借りていいのね。ここにいるみんなの」
発起人がぐるりを見回し、順にクロウ達の顔つきを確かめる。それぞれの意志と意欲は、それだけで彼女に伝わった。
「わかったわ」そう頷くと、皆に席につくよう大山が手で促す。
「私、大山さんの飲み物を買って来ますね」
中原が会議室の外に行く間、琉菜とエイジはクラン達の後ろの列に座った。最前列とはいえ、ドア寄りを陣取ったのはデュオだ。クロウはロックオンと共にその後ろにつく。
ただ待っているのも暇なので、クロウは既に置かれている資料に目を通そうとする。
しかし、読み始める直前にドアが開いた。
「ただいま戻りました。あの…」何故か、続きを話す事を中原が躊躇う。
「はぁ!?」
更にエイジが中原の背後を指さし、場にそぐわない素っ頓狂な声を上げた。
クロウも、突然現れた気配の乱れに首を傾げる。おそらく、中原の後ろに立っているのは1人や2人ではない。
そのクロウの推理を裏付けるつもりなのか、姿は見えないながらも「はぁ〜い」と大人びた艶のある女性の声がした。耳を掠めるハスキー・ボイスは、グランナイツの女性パイロット、ミヅキではないのか。
「どうして俺達を外すんスか?」と抗議する声の主は、間違いなく赤木だ。
「理由があるからに決まってるじゃない…」
デュオの後ろで、谷川が両肘を机に突き両手に顔を埋める。
「なんかこう…、『ビックリハウスへご一同様をご案内〜』って流れになってないか?」
表情を強ばらせ会議室の入り口から逃避するデュオへ、モニターを背にした大山はただ張りついた笑顔を返すのみだった。
− 5.に続く −
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