三十四話:答えと日常
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なら引いてみろ作戦』大成功や! これで休日はデートや!)
(ありがとうございます。でもチャンピオンの演技も素晴らしかったですよ。恐らく今のリヒターさんの頭の中では『あれ? 俺もしかして嫌われた!?』という不安が襲っているはずです)
ば、バカな。あの単純思考のジークが養い主である俺を嫌うなどあるのか?
いや、あいつはその気になればヴィクターの所に転がり込める。
というか、何もしなくてもヴィクターが連れて行きそうだ。
何とかして阻止しなければ……いや、待て。どうして俺は阻止するなんて考えているんだ。
あいつが家から居なくなっても別に何の問題は無いはずだ。
(おお、ホンマに悩んどる。なんかこんなリヒターを見るのは新鮮やな)
(普段人をからかっているのですから偶にはこのぐらいは悩んでもらわないといけませんよね)
寧ろ食費が浮いて生活がより楽になるはずだ。
……何だ良いこと尽くめじゃないか。
そう結論づけることは容易いのにどうしてジークの顔を見るたびに心が締め付けられるように痛くなるんだろうか。
(……なぁ、いいんちょ。想像以上に苦しんどるように見えるんやけど、やりすぎたんちゃう?)
(わ、私に言われましても……やったのはチャンピオンですし)
(提案したのはいいんちょやろ!)
(私に何かリヒターさんを振り向かせるいい方法がないかを聞いてきたのはチャンピオンでしょう!)
思えば行き倒れていたのを拾った時からあいつの正体には気づいていた。
ご先祖様の仇であるエレミアの子孫。
別にご先祖様も恨んでもないし、俺も仇を討とうなんて欠片も思っていない。
ただ……あの青い目が怖かった。
リッドと同じように純粋な殺意を持って見てくるんじゃないかと怖かった。
あの鉄腕が俺の心臓を貫いてくるんじゃないかと怖かった。
(な、なんか遠い眼をして私を見つめ始めたんやけど、どういうことなん!?)
(そんなこと私に言われても分かりませんよ!)
(謝るからいつものリヒターに戻ってーや!)
でも、そんなものは俺の杞憂だった。
ジークは戦闘以外はからっきしの手のかかる奴だった。
因縁すらある相手なのに何故か世話を焼いてしまった。
勝手に懐かれたなんて言ったが俺にも原因がある。
ついつい甘やかしてしまったのは嫌われたくないからだ。
最初は怖かった青色の瞳が好きになったのは気づいたら見つめていたからだ。
「ジーク」
「ひゃ、ひゃい!」
「……何を噛んでいるんだ?」
「う、うぅぅ……」
短い返事であるにもかかわらず舌を噛んでしまい軽く涙目になるジークに柔らかな笑みを浮かべる。
それに気づいて馬鹿にされたと思ったのか今度は頬を膨らませるジーク。
相
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