三十四話:答えと日常
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プルジュースを頼むよ、リオちゃん。それと一番一緒に居るのは間違いなくお前だと思うぞ、ジーク」
「そういう問題やないんよ」
「そう言われてもな……。そう言えば、格闘技ファンの子からお前のサインをねだられたんだが、書いてやってくれないか」
「う、私のサインなんてそないな価値ないよ」
案の定と言うべきか恐縮というか恥ずかしがって手をブンブンと振るジーク。
これでさっきの話の流れも断てただろうな。そう考えていた時期が俺にもあった。
「そのファンの子というのはいつ会ったんですか?」
「ん、ついさっきアインハルトちゃんの出し物を見に行った時だが」
「女の子ですね」
「確かにそうだが、なぜ確信をもっている…ん…だ」
エルスの問いにそこまで言って自分の失態に気づく。だがもう既に遅い。
若干じゃすまなくなった黒いオーラを纏うジークが目に映った。
あ、これダメなやつだな。
「ふーん。ハルにゃんのとこでかー。私に用があるって言っとったのはそのせいかー。しかも、また女の子と出会ったんやね」
「……いや、そのだな。俺はただ単に頼まれただけで」
「私よりもハルにゃんに会う方が大事なんやね。しかもそのついでに新しい子にフラグを立てるなんて大忙しいやね」
「あれは、行かないとやばそうだったん…だ……」
「ふーん?」
ジト目で睨みつけてくるジーク。
エルスに助けを求めるように目を向けるが知らん顔で別の席に移動していた。
誰でもいいから助けてくれと周りに目線を投げかけるが修羅場だと思っているのか目を輝かせている女の子達としか目が合わない。
子どもが修羅場に憧れるものじゃない。今すぐ俺を救出してください。
「まあ、ええわ」
「なに?」
驚いたことにジークは軽く溜息を吐くと俺を無視してジュースをすすり始めた。
周りの視線が早く謝れと俺に突き刺さる。
正直に言って物凄く居心地が悪い。
「その…だな、ジーク」
「いいんちょ、他のクラスの出し物見に行こうや」
「そうですね」
「分かった! 謝る! 謝るから待ってくれ!」
ツンとした態度で立ち上がるジークの手を掴んで引き止める。
傍から見たらどうしようもなく情けない男に見えるが背に腹は代えられない。
「悪かった。妹よりもお前を優先するべきだった」
「うん」
「そのだ……お詫びとして今度美味い物でも食べに行かないか?」
「……そこまで言うなら許してあげてもえーよ」
何とか許して貰えたのか再び席に着くジークに胸を撫で下ろす。
それにしても、今日のジークはいつもと違っていたような……。
まさか、嫌われたとでもいうのか!?
(おおきにや、いいんちょ! いいんちょの『押して駄目
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