第6章 流されて異界
第125話 名門の名門足る所以
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知って置いた方が……。
「異種婚――と言う方法がある」
例えば西洋の伝承にあるメリジェーヌ伝説。東洋でならば鬼の血を引くと言われている坂上田村麻呂や、葛葉を母に持つと言われている安倍晴明など。
意を決し、最初に無難な方法を口にする俺。そして、これは俺の家系や弓月さんの家系に直接関わりのある方法。
俺の家には龍の血が混じって居た事は確実。そして、弓月さんの家は安倍晴明と同じ神狐葛葉の血が入って居るらしい。
「これは相手が知性の高い種族。例えば人化の術を行使出来る、人間よりも霊格の高い存在。龍族や神狐、それに鬼神などに分類される連中ならば問題は少ない」
こう言う交渉が可能で知性の高い連中ならば、だ。こう言う連中ならば術や契約で縛り、無理矢理に行為に及ぶ、などと言う事も難しいので、後に禍根を残すような事もあまりない。
例えば、前出のメリジェーヌや海幸山幸の中に出て来る豊玉毘売命などが有名なトコロか。
「但し、そんな連中がそう易々と人間と行為に及んで子供を為す事はない」
それは余程、その人間の側に魅力がない限りは。
こう言う連中と人間の間に子供が出来るのは、はっきり言うと人間同士の自由恋愛の果てに誕生する時とそう変わりはない。
しかし、それでは魔術的な名門の意図するトコロから考えると手間も掛かるし、例え子供を為したとしても、確実に術者としての素質の高い子供を得られる訳ではないので――
「この異種婚と言う方法で一番行われた可能性が高いのは、程度の低い邪神や凶獣、魔の類。こいつらの方がずっと召喚し易いし、捧げ物も受取り易い」
もうここまで語れば十分。はっきり言うと女性に対して話したくない内容。最早それは異種婚などと言うレベルの事態ではなく異種姦とも言うべき内容と成る物だから。
この例で有名なのは天使との間に生まれた巨人族。そして、クトゥルフ系の落とし児たち。もしかすると夢魔の類との間に産まれた子供や、悪魔……山羊頭の悪魔バフォメットに対する信仰などもこの例に当て嵌まる可能性も有るのかも知れない。
そしてハルヒもおそらくここに分類される。もっとも、こいつの場合は捧げられた贄の方。更に言うと、彼女が産み落とすのは術者ではなく世界。そして、その世界に生きて行く邪まなるモノ達。
ただ、どちらも何かの力を得る為に捧げられた生命である事に違いはない。
「ここまでが割と一般的に知られている方法かな」
少し肩を竦めて見せながら、そう続ける俺。もっとも、ここまでの説明だけでもどう考えても人為らざる者の行い。正義感の強い人間ならば看過できる内容とは言えないだろう。
但し、それでもこれは人の行い。現代でも簡単に異能の力を得る為にクトゥルフの邪神などに頼る連中は居る。
俺が
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