第6章 流されて異界
第125話 名門の名門足る所以
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そもそも血統などに左右されるのなら、大抵の人間には能力の発現する可能性は存在する。一親等遡れば自分の血縁者は二人に増える。二親等なら親にその親の両親。三親等なら祖父母の両親に両親の兄弟姉妹。兄弟姉妹の数にも因るが、最低でもその人数は倍々ゲームで増えて行く。
前にも言ったが、日本人ならば十代も遡れば有名な人物に突き当たる可能性がある。それは当然、今現在、日本の魔的な側面を担う家のひとつぐらいには突き当たる可能性もあると言う事。
「それなら、初めから能力を持って居る人間を養子として迎え入れる。これなら確実よね」
簡単に次の答えを導き出すハルヒ。その答えに因り、彼女が基本的に善良で、更に頭が良い人間である事が分かる。
その答えを聞いた俺が口の端にのみ浮かべるタイプの笑みを弓月さんに見せた。
そして、
「弓月さんの両親は霊的な能力には恵まれなかった。確か、そう言う話やったな」
水晶宮の報告に有った内容を確認する俺。当然、弓月さんは静かに首肯いて答えてくれる。
「つまり、何。あんたが弓月の家へ養子に迎え入れられる人間かどうかの見極めの為にこんな所にまで呼び出された、と言う訳なの?」
本当に呆れた。そう言った後にハルヒが続けた。
確かに俺も最初はそう思った。故に、旅館に辿り着いて大女将に会った瞬間に回れ右して西宮に帰ろうかと思ったのも事実。
「それで?」
かなり不機嫌な様子で問い掛けて来るハルヒ。まぁ普段なら、主語がない問い掛けなど分かるかボケ、と素直に答えてハルヒを怒らせるのだが……。
今回に関してはそんな必要もないか。
「明日の事さえ分からないのに、将来の事など分かる訳がないやろう?」
そもそも俺は異世界人。この世界に何時まで居られるか分からないのに、弓月の養子として入る事が出来る訳はない。
もっとも、出自のはっきりしない術者と言うのは珍しいから、弓月さんの家が目を付けるのは不思議な事ではない、とは思いますが。
術者と言うのはかなり特殊な例を除いて、その術を教えた師匠と言う存在がいるはず。そして大抵の場合、その師匠と言うのは血縁者である可能性の方が高いですから。
まして……。
それまでハルヒに向けて居た意識を弓月さんへと移す俺。
まして、弓月さんが言った彼女が弓月家次期当主と言う言葉。そして、その家の始まりが本当に祖狐葛葉から始まっているのなら、彼女の家は女系。おそらく、父親の方はずっと養子を取って来た可能性が高い。
其処に出自がはっきりしない……と言っても、俺の周囲に居る人間から推測すると水晶宮の関係者だと言う事は分かるので、闇に魅入られた術者の可能性は低い人間が現われた。
ならばダメ元で動いたとしても不思議ではないでしょう。
水晶
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