第6章 流されて異界
第125話 名門の名門足る所以
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事は――
何故かこの旅館に辿り着いて以来、巫女服を纏った弓月さんから、未だ俺を懐中電灯の光で照らし続けているハルヒに視線を移す俺。
「何よ。あたしが邪魔したから失敗した、とでも言うの?」
少し問題の有った食事の後、自らの泊まる宿を護る結界などを施していた俺たちと違い、一般人のハルヒは温泉で旅の疲れを癒して居たのは間違いない雰囲気。
俺も早く準備を終わらせてから、少しの休息を取りたいのですが……。
「ハルヒが接近して来ていたのは、大分前から気付いているわ」
その程度の事で俺の集中が途切れる訳がないでしょうが。お前さんは、俺の感覚からすると眩し過ぎる存在やから。
最後の方は冗談のような物言いになって仕舞ったが、そう事実を口にする俺。まして、傍に黒髪清楚な巫女さんが居ても平気でしたし、普段も俺的にはかなりの美少女だと思って居る有希や万結が居ても問題なく術を行使出来るのです。背後から急に抱き着かれる、などと言う意表を突く行動に出られない限りは問題なし。
もっとも、そんな事をし兼ねない女性は俺の周囲には居ないのですが。
何にしても、弓月さんには俺が行使した術の説明はしてある。そして、術に失敗した訳ではないのに、この場に土地神や山の神などの高位の精霊が現われる事がなかった理由については想像が付くでしょう。
後は……。
「それでハルヒ。オマエさん、一体、何の用が有ってこんな場所までやって来たんや?」
ここは土地神などの加護を失った地。ただ、今この場には俺や弓月さんが居るので簡単に悪霊の類が接近して来る事はないでしょうが、それでも危険な場所である事に違いはない。いくら俺が渡した護符があると言っても、過信する訳にも行きませんから。
どうやって俺が居る場所を特定したのか不思議なのですが、それでもこの場にやって来た理由を思い出したハルヒ。それまで俺の顔に向けて居た懐中電灯を足元へと向けた後、
「この旅館に着いてからの全てについて説明して欲しいんだけど」
例えば、なんであんたの隣に巫女服姿の桜が居るのか、とかね。
……と問い掛けて来た。
そう、あのバスを降りた俺たちの機先を制するような形で自己紹介をして来た老女。この温泉旅館の大女将高坂静。
そして、俺たち……正確にはハルヒが代表して挨拶を行う間中ずっと俺を見つめた後、
何故か小さく首肯いた。
……いや、首肯いた理由も大体想像は付く心算。更に言うと、大女将の視線に僅かばかりの呪力が籠められている事にも気付いて居ました。
そして、そのまま俺たちは部屋……食事の用意がされていた宴会用の大広間へと通される事となった。
弓月さんを除いて。
まぁ、正直に言うとこの段階で、何らかの事件が起き
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