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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第125話 名門の名門足る所以
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としたのなら?
 もし、今回の温泉旅行も、同じような普通の観光旅行とは違う旅行を味わってみたいと考えた結果、過去を改変して事件が起きつつある状況を何者かが作り出したとしたのなら?

 確かにこれは考え過ぎの可能性はある。しかし、球技大会の時に俺が打たれたたった一本のヒットは、本来は三振で終わるはずの歴史をあっさりと改竄して満塁ホームランとした物。こんなに簡単に歴史を改竄出来る連中が関わっているだけに……。

 平たく切り取られた窓の外は夜……何時の間にか赤が支配する時間は過ぎ去り、氷空は完全に合一した蒼と紅の女神が支配する時間と成って居た。
 成るほど、ハルケギニア風に言えば、今宵はスヴェルの夜と言う訳か。
 憂いの有る瞳……と言うには少し強すぎる視線で頬杖を付いた状態で外を眺めていたハルヒ。最近は愛嬌よりも気の強さのみが先に目に付くようになって来てはいるが、それでもまぁ、かなりレベルの高い美少女には違いないだろう。
 そう考えた、俺の視線に気が付いたのか――

「何、何か用なの?」

 表情に反してさして不機嫌そうな雰囲気でもなく、そう聞き返して来るハルヒ。こいつ、不機嫌だった理由は暇だったからなのか、と考えさせられるに相応しい対応。
 う〜む、これから先の旅行が危険なモノに成る可能性がある、などと言う真っ当な考えの元、憂いに沈んでいるなどと考えた俺がバカだったと言う訳なのか。

「いや、これで怪しげな逗留客とか、曰く有り気な祠とかが出て来たら、本当に魔的な事件だと言う事になるのかな、……なんて考えていただけ、なんやけどな」

 その怪しげな逗留客以外の何者にも見えない自分たちの事を棚に上げて、そう答える俺。
 実際、ここまでやって来た物の事件が起きる確率は未だ五分五分。当然、危険な事件が起きないに越した事はないのだが、それでもこれまでの経験則……ハルケギニアに召喚されて以降の事態の推移から考えると、どう考えても無事に終わるとは思えない。

 少し不謹慎な考え。どうにもハルケギニア世界に召喚されてから事件に巻き込まれ続けて居て、思考自体が危険な方向に進むクセが付いて居るのかも知れない。それでも常に最悪の想定をして置けば、咄嗟の際にも慌てずに行動出来る……ようになるはず。
 自己正当化の権化のような考え。ただ、表面的にはオプチミストの振りをしているが、実はペシミストで常に最悪の事態を想定せずには居られない、これが俺の本質。

「本当にそんな不思議な事件が進行中なら楽しみなんだけどね」

 予想通り……と言うか、こりゃダメだ、と言うか。俺的には何ともトホホな台詞を口にするハルヒ。まぁ、彼女に取っては不思議な事件で終わる話なのでしょうが、もし本当に事件が起きつつあるのなら、その事件を解決する探偵役は俺、と言う事に
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