第6章 流されて異界
第125話 名門の名門足る所以
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由なのですが。
「さて。ようやく話の意図が見える場所までやって来たな」
人ならざる行為の果てに受胎した女性。当然、その女性の胎の中には魔的な資質の高い子供がいる可能性が高い。
そして、子供の内に臨死体験を行えば、その死から逃れる為に新たな、不思議な能力に目覚める場合が多い。
「魔術の名門がここまでの事が分かって居て、その状況を現実に再現しない可能性がどの程度あると思う?」
昔は医療技術も低かったが故に産褥死などの可能性も高かった。その中で生まれて来た子供たちの中に特殊な能力を備えた子供が多い事など、経験則から簡単に得る事が出来る。
次に、自分たちが準備した母胎もそうやって産まれて来た子供。
子種の方は正に異界から呼び寄せた異形。
「子供が産まれて来る直前に母親を殺す。最悪、殺さなくとも、瀕死の状態に置き、産まれて来るはずだった子供に産まれる前に死を体験させる」
別にそのまま母子ともに死亡したとしても構わない。代わりは幾らでも居る。更に、術の中には死を振り払う術も当然のように多く存在する。
産まれて来る子供に能力があればこの程度の状況など覆せるはず、……とも考えていたらしい。
「ここまでの事を為して、日本と言う国の裏側を支配し続けて来た連中や。流石に胆の据わり方が、俺たちのような一般人とは違う」
まぁ、全部が全部、そうだったとは言いません。ただ、何処の家にも表に出来ない怪しげな部分と言うのが有って当然でしょう。
まして、一度栄華を極めた家が、その権勢を失うのは……。
俺が水晶宮に関わるように成る以前に起きた事件。偽りの聖母事件では処女受胎から始まる救世主誕生を完全にトレースする事によって、自分たちの手駒となる救世主を誕生させようとした事件すら起きたのですが……。
その事件を起こしたのは一度栄華を極め、そして落ちぶれた者たち。嘗ての権勢を取り戻す為に起こした事件でした。
まして、新たに産まれて来る子供たちも、おそらくまったく関係のない新しい能力に目覚める訳ではない。俺が死と生の狭間で得た能力は嘗て俺だった存在が、その時に会得していた技術を思い出したに過ぎない。故に、その頃に時間的に近い子供の時に臨死体験をした方が、不可思議な能力――超能力やESP、霊能力などの正に魔法と呼んで良いような能力を得易いのだ、と……。
さてと……。
有希や万結に任せている結界作りもそろそろ完了している頃でしょう。まして、あまり夜遅くに出歩くのも問題がある。
左腕に巻いた腕時計はそろそろ午後の十時を指し示す。流石に一度部屋に戻りたい。
今日は動き詰めで入浴すら未だ。今宵、明日は睡眠すら十分に取れない可能性の方が高いので、精神を一度リフレッシュする事は俺に取って必要。
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