第6章 流されて異界
第125話 名門の名門足る所以
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掛けて――
いや、深く考える時間はない。俺がハルケギニアの六月に経験した事件は、今のトコロ無視した方が良いでしょう。
「ぐぅ」
どうやらぐうの音ぐらいは出せたようですが、それでもそれ以上の反論は出せなかったハルヒ。もっとも、これは当然と言えば当然の帰結。彼女は夢の中で示唆された場所……彼女と出会った図書館の受付で、彼女宛てのプレゼントを受け取ると言う不思議体験をしたのです。この経験をした人間が、夢の中での経験を所詮は夢の中での出来事。現実とはまったく関係がない、とは言い切れないはず。
しかし――
「それで?」
何故か非常に不機嫌な様子でそう聞き返して来るハルヒ。そうして、
「あんたや桜が魔法を扱える理由は分かったわ。それで、さっきまでの話との間にどう言う繋がりがあるって言うのよ?」
さっきまでの話は魔術の名門に才能の溢れた子供たちが何故産まれて来るのか、と言う話だったじゃないの。
……と続けた。
尚、この反応も当然のように予測した上での展開。むしろ、俺が話を脱線させたと思う方が自然な流れ。
そう考えながらも、ワザと肩を竦め、更に今度は首を大きく左右に振って見せる俺。如何にも察しの悪い相手で、もう話すのもうんざりだ、と言う雰囲気を醸し出す。
「人が魔法などの才能を得る方法で確実なのは、修行に因り目覚める……と言う方法ではない」
一番確実な方法は臨死体験。故に、生と死のギリギリの狭間を垣間見る為に、苛酷な修行。断食などの苦行などが行われる場合もある。
俺は実際に身体に著しい傷を負う事によって。弓月さんの場合も同じ。実際に身体に傷を負った訳ではないが、魂魄に傷を負ったのは確実。
未だ話の意図が読めないハルヒが胡散臭い話を続ける似非宗教家を見つめる眼で、俺を睨み付ける。ただ、普段ならば形の良い胸の前で腕を組む事により返って胸の大きさが強調される形と成るのだが、残念ながらダウンのジャケット。更に、その下もおそらくゆったりとしたセーターを着込んで居ると思われるので……。
「ただ、この臨死体験で能力に目覚める方法なんだが、ひとつ不都合な点があってな……」
少し思考が彼女の組んだ腕の下に行きかかり、慌てて視線毎ハルヒの顔に戻す俺。もっとも、あまり顔に固定するのも少し問題があるのですが。
「あまり年齢が進み過ぎると効果がない事の方が多い」
これは、自らの置かれている状況から何としてでも逃れたい、絶対に生き返りたいと言う感情が子供の方が強いから、だと推測されているが、その理由は定かではない。
――実際に経験した俺の感覚では、実はその理由もおぼろげながら分かっている心算では有る。但し、ここでハルヒにその理由を説明しても通じる訳はない理
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