第6章 流されて異界
第125話 名門の名門足る所以
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るように積もった雪と――
旅館……と言っても、現在では営業していない弓月さんの親戚が営んでいる旅館から出して貰った送迎用のマイクロバス。その車窓から流れて行く景色を見つめながら、ぼんやりとそう考える俺。
尚、弓月桜からの申し出を受ける事と成った最大の理由は、当然のように水晶宮が彼女の申し出の中に危険な兆候を発見したから。まぁ、水晶宮からの許しが得られなくとも、この申し出に関しては友誼の元に受けても構わないとは思って居たのですが。
平日だからと言う事なのか、それとも冬の日だと言う理由か。街は人影もまばらで妙に閑散とした印象。もしかすると、地方都市の例に漏れず、この街も過疎化が進みつつある街なのかも知れない。
短い冬の落日の方向へと進む事三十分ほど。住宅地から離れるに従って当然の如く人家の数が減って行き、その代わりに増えて行く広葉樹。
「やれやれ、人里離れた温泉旅館に、地元に伝わる忌まわしい伝説。そして、続く事故とも事件とも判断が付かない人死に――」
ここまで状況が整って居ると、どう考えても事件が発生しなければ締まらないな。
ため息を小さくひとつ。この世界に流れ着いてから一カ月程度。前回の球技大会から続いて二度目の危険な事件の発生。これでは、ハルケギニアに居た時と状況は変わらない。
球技大会に関しては、表向きは這い寄る混沌や名付けざられし者の気まぐれによって発生した事件として処理されたし、この温泉街に起きつつある事件がもし霊的なであったとしても、先の球技大会の事件との繋がりを考える人間はいないでしょう。
しかし……。
俺は少し首を回らし、右斜め後方で不機嫌そのものの表情で外を見つめる少女に視線を向ける。
球技大会の内容。例えば、野球やバレーなどが競技に選ばれたのは毎年恒例の物。ここに魔法が介在した雰囲気はない。しかし、そのメンバーを集めたのはハルヒ。数合わせの男子生徒二人と俺以外はすべて彼女が作った怪しげな同好会のメンバー。
いや、そう言えばあの球技大会の最中に、名付けざられし者が妙な事を言って居たような気もしますが……。
曰く、お前が呼び出したあいつは化け物だぜ。
俺を呼び出したのは有希のはず。但し、それは今の俺。その今の俺を有希が最果ての絶対領域から召喚出来た理由は、今年――二〇〇二年二月十四日に始まる羅?星事件の際に、俺……異世界同位体の俺と有希が絆を結んだから。
ならば、その時。事件が発生する直前に俺が次元を移動した理由は?
そして今度の事件の始まりは、ハルヒが、温泉旅行がどうのこうの、などと言い出した直後から始まった。
もし、球技大会のあの決勝戦の熱戦が、このまま楽勝で優勝するのは面白くない、と彼女が考え、その考えを這い寄る混沌たちが叶えた
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