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或る短かな後日談
彼女達の結末
二 衝動
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どんな顔をしているだろう。どんな思いを抱いているだろう。私を嫌うかも知れない。突き放すかもしれない。
 強引な口付け。何の許しさえもなく押し付けた感情。けれど、私は。伝えなければならなかった。伝える、言葉を知らなかった。だから。

 間違っているかもしれない行為を、その是非さえも知れないまま。

 零れ続ける涙が勢いを増す。拒絶されるのが恐ろしく。そして何よりも、彼女を。私の身勝手なこの行為で、傷つけてしまったかもしれないことが。思いを窺い知れない事が、酷く、酷く、恐ろしくて。

 唇を。抱き締めていた腕を緩め、重なっていた体を離す。
 離しながら。目を。閉じたままだった、目を。開こうと――






 ――開こうとした、その時だった。強く。離そうとした体。腰に、背に、手を回され、そのまま。強く、強く、抱き寄せられて。

 唇が重なる。再び。柔らかな、柔らかな唇同士が触れ合って。

 目を見開く。見れば、彼女は。目を閉じて。何処か。安堵したように、静かに。血の赤ではなく、透明な、澄んだ涙を流しながら。私の体を抱き寄せ、抱き締め、口付けを交わす、彼女の姿が――とても、綺麗な。彼女の姿が、其処にあって。

 私の目から、また、涙が零れだす。頬が濡れ、力が抜け。抱き重ねた体、触れ合わせた唇。此処で、彼女と共に居る。その、安堵が心を満たして。


 彼女に倣い、彼女を抱き締め。二人、唇を重ね続け。



 私は、そのまま。そっと、目蓋を。瞳を、閉じた。





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