暁 〜小説投稿サイト〜
或る短かな後日談
彼女達の結末
二 衝動
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撃ち出した銃弾が先頭の巨人の胸を穿ち、巨大な肋骨、その中央に穴を空け。衝撃に揺れたその体、よろめく体……突き出した膝に。跳躍したマトが足を着き、蹴り、私の与えた損傷へと向けてまた、跳ぶ。溢れ出した赤い粘菌を体に受けながらも私の付けた傷へと腕を振り上げ、夕日を受けて煌いた爪を振り下ろし、貫き、切り裂いていく。

 巨体にとっては。胸を穿たれ、腹を引き裂かれようとも、活動を停止するには及ばない傷。僅かに動きを鈍らせるに留まり。深追いをする事無く飛び退いたマト、その体を追って前傾姿勢になりながら、粘菌塗れの巨人が追って。振り上げられて下ろされた腕、掻い潜り、姿勢を落とした巨人の頭に、再び銃弾を叩き込む。
 ゴライアスの頭を包む奇妙なマスク、鳥類の頭にも似たその覆面を焼き焦がして。落ちたマスク、覗いた頭部は、爆ぜ。首を失っても尚動く姿、夕日を背に黒く塗りつぶされ不恰好な……いや。この場で、今、一番不恰好なのは。

 大切な姉妹のことを。何も思い出せず。彼女の胸の内を、理解できない、私で。

「ああ、ああああああああッ!」

 彼女の叫び声が街に響く。ゴライアスの腕が落ち、足が?げ、見た目のそれよりも脆い体が崩れていく。そして、響き渡るマトの声……獣にも似た声。威嚇のそれ、自身を奮い立たせるそれではない。それは、慟哭。血の涙を流し、牙を覗かせ、腹から這い出し蠢く肉蛇を死肉へと向けて嗾け貪るその行為に対する慟哭。食らい、食らい、傷を癒し。私にはない力。アンデッドとしても異端、死肉と粘菌を口に含み飲み干すたびに自身の血肉へと変える力。
 それを振るう、彼女の姿が。余りに、余りに痛ましくて。

「マト……マトっ……」

 涙が零れる。零れる涙を拭う暇も無く、飛び退き。三体の巨体、崩れて地に落ちもがく一体、残るは二つ。その内の一体が伸ばした腕が、私が蹴ったアスファルトを抉る。金属片の埋め込まれた腕、怪物の手の中で潰され、零れ落ちた黒い破片。マトは、もう一体の巨人を相手取り。分断され、いつ気が触れてもおかしくない彼女へと声を送ろうと、左耳に備えた装置に指を掛けるも、追い迫る巨人。それから逃れることを強いられ、反撃を強いられ。自身の身を守ることで手一杯の有様で。
 廃ビルを殴りつける長い腕。破砕音と共に飛び散り、落下する瓦礫、鉄筋、砕けた硝子。呼吸が必要であったならば咳き込んで居ただろう塵煙の中、凶器の雨と共に、歪に長いその足を以って私の行く手を阻む巨体。避けれど、逃げれど、その手の上。距離を取る事さえ儘ならず。苦し紛れに銃を構えて。
 引き金を引き、腹を打ち抜き。零れ落ちる綿を横目に、苦しむように振り抜かれた横薙ぎの一撃を身を屈め躱す。湿った音、肉の落ちる音。何処までも何処までも残酷で、只、只管に暴力的な光景。見慣れた筈の光景なのに。慣れた筈の世
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