本編 第二部
第一章「世界を覆う沈黙の鐘」
第一章 「物語は唐突で凄絶に始まる」
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夏が来た。テレビでは、相変わらず異常気象とか日本の領土問題とかが話されている。
戦争が起こりそうな予兆もあるがそれは、日本社会の多忙で平凡な日常にかき消されていく。
豊村家では、このまえの事件で警視総監の松峠というおじさんが来ていた。
豊村家ではちょうど夏休み後半に入って四人と一人の友達が集まっていた。あの織花という子も一緒だ。
友恵は庭で竹刀を振ってるし、天光と明日香は、将棋で熱烈なファイトの真っ最中だ。しかも八戦全部天光の勝ち。それどころか六枚落ちで天光有利とかいうありえない状況。もうそろそろ王将と歩だけでお相手してやりますわよ、とか言いそう。明日香はなのになんか全然焦ってない。どうやら駒を動かすだけで楽しいようだ。それにこんなに簡単に負かされるとなんかスポーツ精神がうずくらしい。明日香は昔おじいちゃんと遊んでて腕前は玄人級。だが現在将棋界最強の女子高校生には歯が立たないみたいだ。
「それでですね、あのテロリストは国際的なカルト信仰の結社の一人だったようで今、署で詳細な情報を聞き出しているところです」
「気をつけてください、相手は服に忍ばせた針一本でたやすく人間を皆殺しにできるような人間です」豊村がそういうと松峠は首をかしげた。
「ほう、豊村さんはどうやらあの男についてなにか知っているようですね、良ければ教えていただきたい」
「松峠はん、この姉さんに腹の探り合いかけるのは相手がわるいでっせ。この人の腹の中は広すぎて掴みどころがないさかいな」
「はは、これはあの豊村家のご息女に対していささか失礼でしたな。話を戻しましょう。今、日本近海で異常な現象が起こっているのは知っているでしょう。ドラゴントライアングルと呼ばれる海域で今、戦闘機ですら入れない巨大なハリケーンが起っております。これは気象学的に異常なことです。そしてそれについでローマ法王が昨日、国連に秘密裏に世界の破滅の危機について見解を発表したのです」
「ほう、それはどんな?」
「見解はこうでした『黙示録が起ころうとしている我々は主に御前でついに試される』」
「黙示録!そう法王がいったのですか」
「法王が言った世界の危機が近いならば今、日本近海で起こっている巨大ハリケーンもなにか関係があるのではと国連はかんがえています。偶然の一致かハリケーンが起こった時期と法王の会見の時期は重なるのです。日本には昔から多くの霊的な存在がありました。そしてそれらを鎮めるために神道ができたと言っても過言ではない。実は今、世界の軍事力、政財界、宗教界、あらゆる面で均衡が崩れてきているのです。そして今度の事件。この事件で狙われたのは間違いなく豊村 伊佐あなたなのではないですか」
「松峠さん、ならばもう私の存在に日本政府は気づいているということですね。だからわざわざ警視総監のあなたが事情聴
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