第三話「RSリベリオン・セイヴァ―」
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何度も鉄格子を握りって騒ぎ出した。だが、いずれ叫び疲れて膝が落ちた。そして、頭の中には絶望だけが広がっていた。
「出せよ……出してくれよ……?」
俺は静かにすすり泣いた。この後に起きる自分への償いが怖く感じた。果たして判決はどう下されるのだろうか? もし、テロに対して正当防衛で殺したというのなら、死刑だけは逃れられるかな? だけど、俺の話も聞かずに一方的に進めるあの中年の刑事だから、多分有罪扱いを受けるだろうな?
*
「ったく! 本当なのか? あのガキンチョがマジでISを倒したってのは?」
多熊は、飛鳥を留置場へ放り込んだ後、部署に戻って先ほどの若い部下に問い尋ねた。
「ええ、一様そうなっております。しかし、証拠がノイズの酷い音声だけですので、決定的な証拠はいまだ見つかっておりません」
「……」
「警部、お言葉ではありますが……相手はまだ犯人とは決まっていないんですから、下手して冤罪にだけはしないで下さいよ?」
よく正義感の強さゆえに感情的になる上司に警告する部下は、そんな多熊の机にコーヒーのおかわりを置いた。
「ああ、わかってらぁ……俺はただ、真実が知りたいだけなんだよ?」
と、コーヒーカップに口をつける多熊は、かつて失った女房と幼い娘の姿を思い浮かべる。
忘れたくても忘れられないあの忌まわしいISの暴動事件。いや、テロ事件のことを……
「くそっ……」
真実が遠ざかるのではないかと、彼は余計に痺れを切らしていた。
もし、男手もISに立ち向かう術があるというのなら、それを武器にこの歪んだ女尊男卑の社会を終わらせて、白騎士事件で起こった事実をつきだせれば、ISに加担した政治家たちや、そのISを取り締まる国際組織「IS委員会」へ鉄槌を下すことができる。
多熊にとって、この事件は嘘であっても今はわずかな小さい希望であった。
「出ろ……」
あれから二日が経ち、よれよれになった俺の元へ中年の刑事が現れて俺を釈放した。だが、彼は俺を牢屋から出した途端に懐へ拳銃を押し付けてきた。
「……今度こそ、本当のことを言ってもらおうか?」
「な、何すんだよ……」
刹那、俺は鈍い痛みと共に頬を銃身で殴られた。
「俺は気が短いんだ! 早く言わねぇと、その額に風穴を開けるぜ?」
「だ、だから何度も言っているじゃないか? 本当に刀が……」
「テメェ……どこまで俺をコケにすりゃあ気が住むんだ!?」
中年の刑事は気が狂ったかのように俺に銃を本気で向けた。
「や、やめてくれ!?」
「馬鹿にしやがって……俺はな? こんな「女尊男卑」のせいで全てを失った人間なんだ。何が、被害件数0だ? そのせいで、巻き添えをくらった女房と娘の無念が消えねぇ……」
感情的になる男は、涙目で訴えるかのように俺に叫んだ。そして、俺はそんな男にこう問う。
「オ
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