解かれる結び目 13
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も、レゾネクトの表情は見えない。
ただ、何かを探る紫色の虹彩だけが、じっと私を見据えてる。
溢れる涙で歪められるのは、それだけ。
レゾネクトの手が、私の体の輪郭をなぞる。
寒気と怖気と拒絶と……
心の処理が追いつかないまま、ボロボロになっていた法衣を剥ぎ取られ。
明確な意思を持つ指先が、両脚の間に潜った。
「…………!」
アルフ以外の男に触られる。
アルフ以外の男が私を暴く。
そんなの許せない。
絶対に赦さない。
でも……どれだけ強く強く、触らないで! と思っても。
体は弛緩した状態で、レゾネクトの指先をすんなりと受け入れる。
涙が溢れて、止まらない。
アルフリード。
たった数時間前の貴方の感触まで、レゾネクトに奪われていく。
貴方の存在を奪われて、貴方の温もりまで消し去られて。
どうしろと言うの?
私に、どうしろって言うの?
こんな目に遭うくらいなら、死にたかった。
貴方の熱に護られたまま、死んでしまいたかった!!
「お前は美しいな、マリア」
私の膝を大きく開いて、レゾネクトの体が正面から伸し掛かる。
目元に、頬に、唇に、首筋に。アルフの感触が残っている場所すべてに。
愛情の無いキスが、何度も何度も押し付けられた。
その間も、体の中心を探る指先は止まらない。
狭い入り口を乱暴に抉る指が、一本から二本に増える。
どんなに嫌だと思っても。
どんなにこの男を殺したいと思っても。
体は私の意思を通してくれない。
自由になるのは涙だけ。
アルフ、貴方を想って流れる涙だけ。
「…………────っ!!」
内側を強引に拡げていた指の代わりに、硬い異物が押し当てられる。
緊張を忘れた体は、外敵を押し返すこともせず。
容赦ない突き上げを認めてしまった。
一瞬、呼吸が止まる。
下腹部から体を引き裂くような激痛が走って、脳天を貫く。
開きっぱなしの視界に光が飛散して、暗闇を焼く。
限界まで侵入り。間を置かずに始まる、思いやりも何もない単調な律動。
私を喰らうレゾネクトの顔は、やっぱり見えない。
闇の中にあるのは、翼を透過するベッドの上で仰向けになって揺れる私をひたすら見つめ続ける紫色の眼差しのみ。
どんなに観察したって、私は目蓋でさえ自由に動かせない。
どんなに泣き叫びたくても、自分では表情一つ変えられないというのに。
……アルフリード……、……私、は……
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