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逆さの砂時計
解かれる結び目 13
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死ぬわけがないって……

 ……………………祝福?

「…………あっ……、あぁ……あああ……っ」

 神々がアルフに与えた祝福は、『退魔』と……『治癒』の力。
 アルフが常に最善の状態で戦えるように
 どれだけの深傷(ふかで)を負っても
 すぐに修復
 再生する、仕掛け……

 …………だった。

「いやあぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!」

 祝福を、私に譲渡した。

 私を助ける為に、祝福を手放して。
 そして、レゾネクトに喰われた。
 私を助ける為に、レゾネクトに背中を見せてしまった。

 私を、助ける為に……!

 私のせいで、アルフが!
 アルフリードが!!

「アルフ! アルフ!! 嫌よ! こんなのは嫌!! 私を一人にしないで!! 私を置いていかないで!!」

 アルフだった灰を掻き集める。
 でも、どれだけ掴もうとしても、灰は指の間をさらさらとすり抜けて。
 闇の中ではもう、それが白いのか、ねずみ色なのかさえ、判らない。

「アルフリードぉおおっ!!」

 真昼の陽光のように眩しい金色の髪を揺らして笑う、強い男性。
 護りたいものの為に涙を隠していた、弱い男性。
 私を照らす太陽。
 怯えて動けずにいた私に翔び立つ勇気をくれた、私の勇者。

 もう、いない。

 この空間にも、元の世界にも、どこにもいない。
 私を愛してると言ってくれた人は、もう……
 いない。

「貴方さえ! 貴方さえ、生きていてくれれば良かったのに!! アルフ! アルフ……!!」

 灰に顔を埋めても。
 濡れた灰を胸に抱えようとしても。
 そこに、私を抱いてくれた熱は無い。
 私が護りたかった世界は、永遠に失われてしまった。
 二度と、触れられない。

「何故、泣く? 何が悲しいんだ?」

 耳を打つレゾネクトの不思議そうな言葉に、上半身を起こす。

 ……何が?
 何が悲しいか、ですって……!?

「貴方に……貴方なんかに解るものか!! 教えを乞うばかりで実際には何も知ろうとしてない貴方に!! 誰かを想う気持ちなんて理解できやしない!!」

 赦せない。

 私のアルフを殺した。
 私の太陽を奪った。

 この悪魔が赦せない!!

「勇者アルフリードは、お前を愛して護った。本望だと思うが」
「貴方がアルフの名前を口にするな!! アルフの想いを語るな!!」

 残った片翼の力で、レゾネクトの声がする辺りに狭い空間を作る。
 その中から空気を飛ばして、呼吸を奪う想像
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