月下に咲く薔薇 3.
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2人で朝食をとっていると、キラ達と共にグランナイツが、そのまま食堂でコーヒーを飲みくつろいでいるとデュオとヒイロがやって来た。
「ステキな企画、上手くゆくといいね」
食後の琉菜とエイジをクロウ達の横に連れてきた斗牙が、そう言い残して食堂を後にする。
「俺は、絶対に斗牙の方が向いていると思うんだけどな」
ソルグラヴィオンのメイン・パイロットを視線で見送りつつ、エイジがさも不満げにロックオンの隣に座った。
「まぁ、ごちゃごちゃ言うのはよそうぜ。どうせ、俺達暇なんだし」
近づいてくるデュオもまた、諦めが表出した顔つきをしクロウの隣で椅子を引く。
「嫌なら辞める? あんた達」
突然、立ったままの琉菜が昨日とは真逆な話を持ち出した。豹変に驚いたのは、昨夜から渋っているエイジとデュオの2人だ。
「いいのか?」
デュオの言葉と口調が一致しない。エイジに至っては、呆けてさえいる。おそらくは、嫌だ嫌だと言いつつも、やる気の方はきちんと育て今日ここにやって来たのだろう。
琉菜は言う。
「そんな顔してお手伝いに行ったら、21世紀警備保障の人達がかわいそう」
「違うんだよ、琉菜ちゃん」咄嗟にクロウは間に入り、「2人は照れているだけなのさ」と兄貴めかして弁護した。
「照れてる、ねぇ…。それも仕方ないか」すっかり神妙な子犬と化したエイジとデュオに、琉菜がぐいと顔を寄せる。「じゃあ、もう一度選ばせてあげる。どうしたいの?」
「なら、手伝うよ」ぼそりと小声で呟いたエイジに対し、頭を下げつつ「助力の栄誉を賜り、光栄の至りぃ〜」とデュオが立ち上がって大袈裟に謙る。
「そういうところ、上手いよな」翻しすぎるデュオの態度に、エイジが僅かに皮肉を込めた。
「どうせ手伝うのなら、徹底的に陽気にやるのが一番だろ? まず、ここで琉菜が笑う。俺にとっちゃ、そこからだ」
おどけた物言いだが、デュオの目は真面目そのものだった。
しかも、離れていた筈のヒイロが、いつの間にかデュオの背後に立っている。
「あれこれはぐらかすのは、難易度の高いミッションだと理解しているからじゃないのか?」
一瞬、食堂全体がしんとした。
クロウ達ばかりか、ゲイナー達、エルチ達、葵達にシモン達、竜馬達までもが一斉にのんびりとしたものが削げ落ちた顔をしこちらを見る。どうやら全員が、気のない素振りをしながらも話に耳を傾けていたようだ。
皆、考えている事は一緒という事か。ZEXISの中から淀んだものを一掃したい、と静かに願っている。
「かもしれない」遂に潔く認めたエイジが、「ここは一つ、俺がやるっきゃないのか!」と語気に力を込めた。
たかがとされどは、背合わせの関係にある。ただのお祭りとも映るバレンタイン企画は、既に仲間たちから一定の成果を期待されているらしい。
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