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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 3.
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ZEXISのメンバー全員が知るところとなってしまった。勿論、既に互いの覚悟を悟っている仲間達だ。今更クロウの経歴を知ったところで、突然態度を翻し距離を置こうとする者など一人も現れはしない。
 しかし、いや、だからこそ。変わらぬ皆に戸惑って無駄な気遣いを始めたのは、暴かれた側のクロウだった。
 あの時に限り、アイムの話に嘘はない。一時的とはいえ、確かにクロウはテロリスト同様の外道な生き方をしていた。世界の暗部に身を浸した事のない者達と、どうして自分が積極的に関わっていられよう。
 しかも、よりによってバレンタインときている。琉菜のこだわりからも伝わってくる神聖なイベントという認識に、この身は場違いだからと主張する事が間違っているとでも言うのか。
「但し、それでもお前はやらなくちゃな」やや間を置いた後、ロックオンが厳しい言葉を敢えて使う。「もし今、投げ出してみろ。この先、いよいよ彼女達の顔をまともに見られなくなるぞ」
「……確かに」
 小さく息をつき、クロウはロックオンを正面から見据えた。
「なら、お前もちょっととか言わずとことんまで手伝えって。眼帯姿に気後れしてるのは、そもそも彼女達じゃないだろ」
「おっと!」自分の言葉に縛られたと気づき、ロックオンがしてやられたと左の眉を上げる。「苦し紛れにしちゃ、痛いところを突いてくれるな。いっそ死なば諸共、か?」
「よせよ。死ぬ為じゃない。俺達みんなで生きる為だろうが」
 互いに見つめ合い、直後には2人で仲良くぷっと吹き出す。
「OK。一本取ったお前の勝ちだ。俺も関わらせてもらう。それで、大山さんから伝言なんだが、9時に第4会議室に集まってくれ、ってな」
「もう起きてるのか、彼女達は」
「ああ」言葉と同時に、ロックオンが首肯した。「マクロス・クォーターの中で資料作りは始めていたみたいだ。それに、助っ人が増えたって言ってたぜ」
「助っ人…」聞いた途端、クロウの中で自然と浮かんでくる顔がある。もし本当にその人物なら、願ったり叶ったりだ。繊細な問題を一手に引き受け、解決に導いてくれそうな気がする。もし、本当に想像した通りの人物ならば。「そいつがやたら使えそうな気がするのは、俺だけか?」
「さぁな。ま、9時になればはっきりする事さ」
「9時ねぇ」さりげなくはぐらかすロックオンは、その名を聞かされているのかいないのか。クロウとしては気になるところだ。「で、今は…」
 2人は、同時に壁に掛けられた時計を仰ぐ。
「日本時間の午前6時43分。皮肉なもんだな。ゆうべ何も起きなかった分、お互い6時間近く熟睡できた計算になる」
「おかげで頭も体もすっきりだ。いい仕事ができるぜ、今日は」
 手伝いの話はさておき次元獣バスターとして、クロウは今の意気込みをロックオンに開示した。
 深夜に活動していた割に回
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