第30話
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「作戦完了―と言いたいところだが、お前たちは独自行動により重大な違反を犯した。帰ったらすぐ反省文の提出と懲罰用の特別トレーニングを用意してやるから、そのつもりでいろ」
「……はい」
「加えて丹下。お前はグランツの件の分も追加される。いいな?」
「承知しています」
一夏たちの帰還は冷たく出迎えられ、腕組みで待っていた織斑先生に大広間で正座させられていた。俺は先生の許可と指示を受けて動いたから正座はなしだが、処罰は受けると先に宣言した通り、ゼロと福音、両方合わせた罰をいただく事になった。
かれこれ30分は正座させられていたか、オルコットの顔色が良くない。
あれこれ救急箱や水分補給パックなどを運んでバタバタしていた山田先生が織斑先生を宥めにかかるが、先生の怒りは鎮まらない。当然と言えば当然である。
「じゃ、じゃあ、休憩してから怪我のこともありますし、一度診断しましょうか。ちゃんと服を脱いで全身見せてくださいね。―あっ!だ、男女別ですよ!わかってますか、二人とも!?」
言われなくとも承知と言うか、当たり前だと思う。でも、一夏が微妙に気づついた表情をしている。不憫な…。
何か起きる前に早めに廊下に出る。その足で、山田先生に渡されたパックを口にする。体を考慮したぬるめの温度、先生の配慮がありがたい。
一息ついていると、女子の声に押されて慌てて一夏が出てきた。そのまま閉じた襖に背を預け、深く息を吐き、顔をあげた一夏と目があった。
「トモ…、その、仲間を、守れたよな。俺」
どう言えばいいか纏まらない、そんな顔をした一夏の問いかけに、苦笑しながら答える。
「大一番であの啖呵だ、守られた篠ノ之達の方が良く知ってるよ」
「だけど実際に解決したのはトモで…!」
「大事なのは結果じゃなく、在り方だと思ってる。今回…、だけじゃないな。何度も何度も、一夏はその時最善を尽くした。今日だって来てくれなきゃ危なかった。恥ずかしいけどさ、一夏はヒーローだよ。…俺にとってはな。」
ゼロのように一夏を容認出来ない者も確かにいる。だが、俺は一夏がヒーローであって欲しいと願う。
「正義の味方とかヒーローとか…そういうのは、誰かがそうであってくれと思うから、誕生するんだろうな。だからさ、一夏」
また守ってくれるか?その問いに、一夏はビックリしたような顔をした後、とびきりの笑顔を見せてくれた。
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夕食の後、俺は織斑先生に無理を言って、『福音』の操縦者に面会させてもらっていた。
「…『ヴァンガード』操縦者、丹下智春です。」
「へぇ、君が…。有名人が何か用?」
織斑先生立ち会いのもと会話しているが、ピリピリした雰囲気を感じる。盛大に動き回っていたが、余り体に影響が無かったようだ
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