暁 〜小説投稿サイト〜
妖精の守護者 〜the Guardian of fairy〜
ゴーレム
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? いきなり彼女の前に現れたと思ったら、住み着くようになって。もし彼女を泣かすようなことがあれば、許さんぞ。あと、ツケはできんし、ゴーレムに商売をするつもりはない。帰れ」

「心の狭い親父だ。だからその年で独り身なんだ。若い女の尻を追っかけている暇があったら、少しはそのハゲを隠す努力をしろよ」

「……てめぇ、人が大人しくしてりゃ、つけあがりおって……」

 店屋のハゲは指を鳴らすと裏口から巨大なゴーレムを送り込んできた。親父のゴーレムも巨大で屈強な体を持っている。岩で出来た肉体はどんな武器も貫通することはできないだろう。

「……じゃ、忙しいみたいですので。私はこのへんで」

「逃がすと思うかこの糞ガキが!」

「暴力反対!」

 素早く店先を抜け出し、俺はハゲのゴーレムから間合いを取った。どうやら、村で暴れるつもりはなく逃げ出した俺を悔しそうに見つめていた。ざまぁみろ。
 それにしても、今日は同じゴーレムに襲われてばかりだ。ゴーレムには体のでかい奴や小さくてすばしっこい奴。人間型のもあれば獣の姿をしていたり、鳥みたいな空を飛べるものいるが、一般的なのは、ハゲみたいな体のでかい奴が守り手にふさわしいのだ。

「……げっ、言ってるそばから、嫌な奴に出くわしてしまった」

「人を化け物みたいに言わないでくれる?」

 ずーん、と高く聳え立つ壁、ではなく岩の巨兵。先ほど俺をいじめにいじめた、鬼畜ゴーレムは相変わらず生きているのかわからない灰色の瞳で俺を見ている。
 戦いにのみ、唯一行動を許された戦士は静かに主の前へ歩み寄った。

「……ジェノス、大丈夫よ。そいつ、無害だから。下がってよし」

「はい、主様」

 厳かな響きでゴーレムは引き下がる。そして、そいつの主である妖精の女は面白い玩具でも見つけたように俺の目の前に現れた。
 羽根は、四枚。妖精は、その羽根の数で魔力の強さが決まる。
 ちなみに、妖精王は八枚羽根。その魔力の高さは、大陸を滅ぼすほどの力を秘めていると言われている。恐ろしい話だ、できれば一生関わりたくないのであった、まる!

「リーゼの雑魚ゴーレムが、村に何の用? さっさと家に帰って、反省会でもやってなさいよ」

「よう、ジェノス。相変わらず、いいパンチしてるな。死ぬかと思ったぜ」

「ゼスこそ、いつも本気のつもりなのですが、その生命力は驚嘆に値します」

 ジェノスとは、仲が良い。隣のお嬢とリーゼが幼馴染ということもあり、いつも練習に付き合ってもらっている。もっとも、俺が勝てた試しなど、皆無なのだが。

「ちょっと、無視すんじゃないわよ! ゴーレムの分際で!」

「うっせぇな、ルーチェ。俺とジェノスは常日頃から拳を交えている相棒なんだ。お前の取り入る隙はねぇんだ
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