第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
1人だけもはや別宗教
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、それは昴に制止された。ついでに壮絶な男運の悪さを露呈した珠希に厳しいツッコミが飛んできた。
「え? だって恐がっても仕方ないじゃん」
どう転がってもこの世には男と女しかいない。それが珠希の根底にある概念だ。
性障害やらオネエやらジェンダーの多様化やらがいくら表面化して一般に認知されようと、法に基づいた一枚の紙の上ではMとFのどちらかしか記載されない。ましてや珠希の手に職は男性との付き合いが絶対的多数である。精神論で片付くわけもないのだが、逃げ回ったところで八方塞がりに陥るならと、この万能型小心者は思考を逆転させ、いっそ島津の退き口よろしく敵中を中央突破して生き残れるまで突き抜けようと開き直った。
そのために犠牲にしたものが羞恥心と精神と肉体の健康と『普通』じゃない生活とは言えない。口が裂けても。
「こいつ、いい意味で狂ってるのか、悪い方向に前向きなのか……」
「ギリギリ僕は前者がいいなぁ」
「二人ともひっど!!」
星河と昴から認識を改められた武闘派美少女だが、そもそも珠希が男性恐怖症にならなかった最大の原因は、いざとなれば並み外れた身体能力と習得した体術を駆使して成人男性を軽々と制圧できるためである。もちろん単純な力勝負で勝ち目はないが、昼食時の喧嘩のようにどんなに鍛えても鍛えづらい弱点を狙うことで相手を怯ませ、逃げる時間を稼ぐくらいはできる。
さすが時速およそ5kmで水中を泳ぎ回り、最大で5mにもなる触手に麻痺・溶血・壊死を催す毒を持つ“Sea Wasp”こと海のスズメバチのあだ名をつけられただけある。本人のあずかり知らなかったところで。
「なんなの二人して。あたしは平常運転だってのに」
がっくりと肩を落とす珠希だが、珠希の平常運転が社会一般的な平常運転であればこの世は常に事故に見舞われている。30分枠のトーク番組で必ず3、4回はかぶせ音が入るくらいの放送事故に。
「……あ、まだいたのか?」
平常運転から空運転に入った放送事故少女の背後、誰にともなく声をかけてきたのは先程保健室に向かったはずの匂坂雅紀だった。
「何してんだよ相武くん。もうとっくに帰ったと思ったのに」
「ああ悪ぃ。竜門がさっきからとんでもないことを言い出してな」
「なんでそこで自分の女扱いすんの?」
「安心しろ。こっちは願い下げだ」
「はぁ?」
「この二人、普段からこうだなぁ」
何気ない会話だったはずが、たった二言三言で一触即発レベルまでヒートアップする珠希と昴を前に、クラス委員のスクールカーストの階層コネクタも小さく溜め息をつき、普段はクラス内でも目立たない二人の犬猿
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