第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
1人だけもはや別宗教
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は嫌と即答する珠希だが、これでも兄が家を出て1人減った5人家族のまとめ役で長女体質者。ただでさえ朝起きてから家族のために苦労し、通学途中ですら家事と家計のために考えを張り巡らせ、帰宅してからも家族のために苦労し、同時に自らが抱えている原画とイラストの仕事で労を強いられている。もちろん、仕事の報酬はちゃんと正規のものをもらっているので手抜きなどもっての外だ。
こんな状況でこれ以上苦労するなど、土下座されてでも御免だった。
「でも珠希さん。それじゃあ今まで友達はどうやって?」
「それがね星河くん。勝手にできてたんだよ」
「勝手にできるものなの? 昴」
「俺に聞くな、星河。この女の感覚は俺たちと次元が違う」
珠希の発言内容がとにかく理解できないといった風に、星河は昴に疑問をぶつけるが、昴も昴で珠希の「友人」に関する概念そのものに疑念を抱いていた。
とはいうものの、イラストを描いて色をつけ、アダルティなグレーゾーンで年に7ケタを稼ぎ、世知辛い大人の世の中を渡る方法を少なからず知っている珠希が社会経験のない学生と同じ感覚で「友人」を語れるかといえば誤差修正が必要になる。
学生時代ならL○NEで呼びかければすぐ集まることができた友人たちも、ひとたび社会に出ると状況は一変する。気軽に集まれる友人がいる一方、休日に顔を見かけたりする友人や年に一回出会えるかどうかわからない友人、はたまた遠く離れて顔すら忘れかけている友人、仕舞いには唐突に現世からいなくなってしまった友人すらできる。
彼らをはたして友人と呼ぶのかはわからないが、これはいち労働者としての作者のリアルである。
「けど竜門。お前それ何か騙されてないか?」
「大丈夫。すっごい仲いい友達は数人いるから」
「珠希さんがそう言うならいいんだけど」
「半信半疑だな」
友達の作り方を知らずクラス内難民となった少女にも、中学時代に特に仲が良かった友人がいることを知った星河は安堵し、一方の昴は自らの台詞を体現する怪訝な視線を向けてきた。
が、それも束の間の出来事。
「でも騙されかけたことならあるよ。初対面の男子から友達になろうと言われつつ、部屋に上がりこんだらベッドに押し倒されてセッ――」
「待てコラ。何の話しようとしてんだお前?」
「押し倒されたけど、男の人の大事なとこ蹴っ飛ばして逃げ帰った話」
「っ。た、珠希さん……?」
危うきという単語にすら近寄らない小心者少女とて、危機的状況には何度か遭遇している。無事に初対面の男の自宅という危険極まりないダンジョンから脱出できたからいいものの、まさかのラクロス……ではなく、セク――でもなく完全にレ×プ紛いの行為をされかけたという珠希のカミングアウトに唖然とする星河。
それと同時にもし珠
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