第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
1人だけもはや別宗教
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が騙されてどうすんだ?」
「じゃあ帰ろっか星河くん。細かいこと喚く人は置いて」
「そうだね」
「おい待て金銭欲に塗れた女狐っ!」
……これは、認識間違ってたかもなぁ。
珠希、星河、昴の三人のやり取りを初めて目の当たりにしてカースト内の階層を自由に行き来するクラス委員は冷静に、特に自分と同じクラスに在籍する珠希と昴を観察する。
先程、星河に対してC組でも浮いている珠希と昴の子守役との印象があったと打ち明けたが、それは今の三人のやり取りで全否定された。子守をされているのはむしろ星河のほうで、珠希と昴はクラスの空気よりも星河という存在を介せば他者とのコミュニケーションは十分に取れる。
そして自己批判ができる知性派の少年は、この世には広く浅く人づきあいを好む人と、深く狭い人づきあいを好む人がいることを知っている。
実のところ、珠希も昴も壁があるために他のクラスメートがあまり近寄れず、友人もできない点は共通しているものの、その原因は全く違っている。小心者の珠希は人づきあいの障壁を乗り越えたくても乗り越えられず、口の悪い昴は意識的かどうかは別にしても俺に近寄るな的オーラを発しているためだ。
「それじゃね匂坂くん。お風呂のとき、傷口に気を付けてね」
「そ、それじゃあ、お先に失礼します」
「じゃあな匂坂。って待てっつってんだろ!」
雅紀に三者三様の挨拶を残し、珠希と星河、それにやや遅れて昴は靴を履きかえてその場を後にしていく。
そんな三人が校門を出て姿が見えなくなるまで見送っていたクラス委員の少年は、遠くから野球部の上げる声だけが響く、しんと静まり返った昇降口で、もう一度だけ右肘に張ってもらった絆創膏を軽くさすると、わずかに口元を緩めて部活に戻っていった。
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