第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
1人だけもはや別宗教
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「へぇ。結構同好会とか多いね」
「息抜き程度のやつもあるんだな」
すぐ帰れるようバッグを手に、どこに何の部屋があるかも把握する意味も兼ねて校舎内を歩き回っていく中、担当楽器ごとに練習を始める吹奏楽部、調理室で次の打ち合わせをしていた料理クラブや美術室で新入部員歓迎会をしていた美術部、何やら新部員相手に謎理論を説明していた実験部、誰が新入部員なのかもわからないくらい無言で本やPCに向かっていた文芸部にPC同好会、そして何やら男女問わずどこか百合と薔薇の入り混じった黄色い声が上がっていたサブカル研究部など――何やら最後の研究部を名乗る同好会には名前からして嫌な予感しかしないが――色々と覗いて見て回った珠希の前を歩く幼なじみ2人組は、稜陽高校に存在するクラブ活動の種類の多さに感心しきりの様子だった。
「そういえばさ、二人とも中学は部活やってなかったの?」
「んー。そういうのはないな」
「僕は今よりもっと病弱だったからね。昴はやってもよかったのに」
「バカ言え。俺はお前の親父さんからいろいろ頼まれてんだよ」
「だからって僕と同じ学校に進まなくてもねえ」
星河くんが露骨に体調を気遣われるのを嫌う最大の原因は昴くんじゃねーか。
病弱ショタと冷血系秀才の二人の反応から察した珠希は心中でツッコミを入れる。
そりゃあさすがに身近にいる、しかも家族や親類ならともかく赤の他人から金魚の糞のごとく――失礼。ボディカードのごとく介護されていれば、些細な気遣いすら鬱陶しくなるだろう。ただ、星河自身それを強く拒絶しないのは昴を大切な友人だと思ってのことか、自分の身体の弱さを把握してのことか、それとも――。知り合ってまだ指折り数えるだけの時間しか共有していない赤の他人の珠希には推し量りきれないところでもある。
唯一確実なのは、これで星河のほうがもっと甘えたがり根性丸出しで、昴がそれを表向き嫌がりながらも最終的に甘々従っていたらきっとBL好きの恰好の餌であることだけだ。
「で、竜門。お前は何か気になる部活でもあったか?」
「ないない。そもそも部活でこの学校選んでないし」
「まあ、偏差値的には進学校の部類だしな」
進学校の部類、と言いながらも偏差値70越えは総高校数200を超えるここ神奈川県どころか全国でも上位だ。名前を聞けば一般人は誰もが知っているレベルの。
偏差値の算出方法に平均点が関与している時点で多少の数値変動があるとはいえ、そのトップクラスの進学校に家から近いからという本当の志望動機だけで合格してみせる珠希はいかがなものか。
一方で子どもの学習環境や進学ルートは親の収入と関連づけられるというデータこそあるが、両親は父が専門卒と母が高卒であり
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