第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
ヒロイン像ってつまり妄想のかたまゲフンゲフン
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ぬぬ……、とでも唸り始めそうなほど真正面から睨み合う珠希と昴だったが、まったく同じ反応をする古くからの幼なじみと高校生活で初めてできた異性の友人の様子を見て、星河は星河で傍目から笑っているだけだった。
「……で、改めて昴。何か部活に――」
「入らねえ。興味もねえ」
「じゃあ珠希さんは――」
「あたしもパス」
「ふ、二人とも迷いなく即答するね……」
普段から無愛想な表情をさらに無愛想にして答える昴に、もうこの話はやめにしようという手振りも交えて答える珠希。星河を大切に思う割に星河の気持ちは無視かとツッコミたくなる冷たい反応をするのもそっくりだ。
「そういう星河はどうなんだよ?」
「僕は……文化系の、体力使わなさそうなやつならいいかなぁって思ってるんだけど」
「っつーと、美術部?」
「なんでそこで元美術部員(幽霊)を見て言うかなぁ?」
せっかく下火になったというのに、まだ残っている揮発性の油に火を近づけようとする昴に、中学時代は美術部員だった浮遊霊は威嚇気味の牽制を込めて尋ねる。
「珠希さんが入ってくれるならそれもいいかな」
「あたしを基準にされてもねぇ……」
「嫌なのか?」
「そういうわけじゃないんだけどさ――」
実のところ、今に至るまで珠希を指導した教師たちは、誰しも彼女を基準にものを考えてはいけないと感じたことがある。万が一、珠希をスタンダードモデルにしようものなら周囲の子たちはほぼ間違いなく劣等感に苛まれるからである。
裏を返せばそれだけ珠希は当時から飛び抜けていた。学業も、運動も、家事能力も、それ以外の技術や知識も教えた途端にすぐ自分のものにし、しかもそこから発展させてしまう天性の素質の持ち主だった。
そんな周囲の心境の機微すら察した当の珠希は、何にでもなれるということは、同時にそこに向かって努力している誰かを簡単に蹴落とせることでもあることを自覚してしまっていた。
小学2年の頃だったろうか、休み時間に威張り散らすバスケ部所属の6年生のお兄さんたち相手に完全アウェー で無双してしまったことが自覚への発端だった。傍目からすると、体格も技術も上であるはずの小6男子たちが、小2の少女一人にいいようにあしらわれてしまったのである。
とはいえ、周囲が観客に回る中、ダブルチームを股抜きで掻い潜り、1人はアンクルブレイクかまして抜き去り、ゴール裏に逃げながら残る2人がかりのブロックをダブルクラッチでかわしてシュートを決める小学2年生の少女は間違いなく天才だろう。
そんな将来のオリンピック候補生が夏も冬も某同人誌即売会会場通い皆勤賞とか冗談でも笑えないが。
一方、小学校生活最終学年を迎えていた彼ら
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