第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
ヒロイン像ってつまり妄想のかたまゲフンゲフン
[7/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
世界の人間から盛大に草を生やされていた。
「ちょ待て! トイチの有利子負債とか、お前実は金の亡者か?」
「家事を取り仕切る者としては当然の知識だよ」
「なら預貯金関連に留めとけ」
仮に珠希の言うとおりそれが当然なら、旦那の給料からろくな貯蓄を生み出せないこの世の専業主婦()は立つ瀬がない。珠希が持っていない法令遵守の精神に基づけば、法が定める最低賃金の支払いさえ守られているのであれば、家計が赤くならないようにするのが家事を取り仕切る者としての役目。譲歩したところでATMにも管理維持費に電気代というコストがかかるのだから、ATMの吐き出す安月給に文句を言うのはお門違いだ。何を頑張ったかもわからない自分へのご褒美よりも、そんな自分を頑張って支えているものへのご褒美のほうが先ではないだろうか。
なお「有利子負債」に関しては検索、検索ぅ。
「あはははは……。昴がここまで振り回されるのも珍しいね」
「んだよ星河。そんなに面白いかよ」
「そういう昴を僕はあんまり知らないからね。でも珠希さん、もしかして昴の扱い方に慣れてきた?」
「扱い方とか知りたくもないかなぁ。特に有利子負債抱えた人とか」
「おい待てや金の亡者……って、債権者俺なの!? 星河じゃねえの?」
「だからあのとき言ったはずじゃん。『それじゃお願い』って」
「あれはそういう意味だったのかよ!」
明らかに不機嫌ですと眉根を寄せて口を尖らせる昴に対し、新しい発見ができてどこか嬉しそうな幼なじみの少年は珠希にも話題を振る。だが、星河も初めてかと思うほど昔からの冷血系秀才幼なじみを振り回す美少女は、まったく悪びれる様子もなく金の亡者っぷりを見せるだけだった。
そもそもどうあがいても金の亡者とお金の問題で議論しても勝てるわけがない。彼らにとって金は命よりも重く、法や理性より優先され、思想や理想論よりも価値があるのだ。
ちなみに、該当する珠希の台詞を要約しなかった場合、「それじゃ(これは昴くんの有利子負債扱いにするから、支払いのほうはぜひお菓子かジュースで)お願い」となる。
「んー。ほんと昴と珠希さんって仲いいよね」
「「どこが(だよ)!?」」
星河の突飛な一言に、珠希と昴の台詞がハモった。
「――くっ」
「……ちっ」
まさかこんなテンプレを自分がやってしまうとは思っていなかった珠希は苦い顔で昴を軽く睨むが、一方の昴も珠希と同じ面持ちで小さく舌打ちをしていた。
「ほら二人とも、そういうところそっくりだよ?」
「「いや今のは違う!!」」
ハモってしまった。またしても、昴と。
「いやいやありえない。マジありえない」
「クソ。なんでこんなのと……」
「何よ」
「何だよ」
ぐぬぬ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ