第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
ヒロイン像ってつまり妄想のかたまゲフンゲフン
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行政関係者、警察、弁護士という強大な社会的立場を持つ人たちに伝わり、今まで数名の男女が鑑別所や拘置所からの不起訴処分や家裁送致、司法の手によって鉄条網と監視カメラつきの塀の向こうへドナドナされるなどの目に遭っているのだが、それは珠希にとって何の自慢にもならないどころか、苦々しくて思い出したくもない話だ。
……やっぱ、あたしって男運とか悪いのかなぁ?
お祓いとか受けたほうがいいかな?
いやでもまだ厄年じゃないし。
中学時代、特に親しかった親友(全員女)と一緒に4人で出かけた今年の初詣で珠希が引いた御神籤の結果は「末吉」。運勢自体は悪くはなかった。だが残る3人が揃って「大吉」を引かなければケチもつかなかったし、それから程なくして3人ともカレシができたという報告は完全に無視したのは言うまでもなく――。
そもそも男運に関しても、珠希の場合は男女問わず周囲を気後れさせるほどの美貌を持ち、無自覚に内面から「人を寄せ付けない」ほどの気品を漂わせている。気軽に声をかけてくれるのはご年配の方々かランドセルを背負う前の子どもたちくらいだ。
数ヶ月だけ通って辞めたピアノとバレエ、そして近所の知人のツテで何度か習った日本舞踊の影響があるとかないとかは関係なく、長女体質による抑圧と紙一重である自制心と遠慮と気遣いの細やかさは昨今の同年代の女子と比べると精神的に大人びた女性として映って見えてしまう。特に何歳になっても本質は変わらない馬鹿な男からすれば。
それでも本人は何かが欠如していると思い込んでいるのは、「女の劣化は14歳から」という過去に読んだコミックエッセイの台詞を真に受けているせいである。スキャモンの発達・発育曲線を参考にしても現在15歳の珠希には十分な“のびしろ”があるのだが、では14歳から女の何が劣化するのかと尋ねると、「その態度」だと兄・暁斗から即答アンド断言された。
恥じらいと遠慮の喪失、感情による自制心の無効・形骸化、集団心理への盲目的追従、同年代または異性との間にある上下格差意識、歪曲されたフェミニズムによる「男女平等」と「女性尊重」の履き違えなどなど、痛いところばかりを容赦なく抉りに抉られた挙句、トドメとばかりに「実際のところ、基本的に男はロリコンかマザコンしかいないし」と結論を勝手に出された。
しかも「結論までは求めてない」と言ったら、それが男と女の会話が噛み合わない最大の理由だと返された。事実、女の珠希は「そんなことないよ」と共感してほしくて疑問をしたつもりが、男の暁斗はその疑問を科学的・客観的事実を踏まえて解説し、結論を出しただけである。
そのうえ、仮に結婚に伴う経済的・精神的目的がお互いに足りないものを補い合うためであるとするなら、男が女に求めるのは
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