第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
ヒロイン像ってつまり妄想のかたまゲフンゲフン
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……やってしまった。
……つい、やってしまいました。わざとじゃないんです。
出来心で……っていうのもおかしいかもしれないんですけど。
いや本当ですって。信じてください。
――などという言い訳の一言一句が、物凄く万引きした主婦かご老齢の方に酷似しているのは気のせいではないと感じている小心者キロネックス少女、竜門珠希は高校に入学してまだ一週間と数日にして最上級生の男子を相手に喧嘩を売り、買い取られた喧嘩に無傷で勝ってしまった。
そんな珠希の耳に届くのは死刑執行を知らせる鐘の音……などではなく、ホームルームの終了と同時に私立稜陽高校の放課後の始まりを告げるチャイムの音だった。
今日はあの2年の先輩に助けられたけど、早速やっちゃった……。
放課後の気怠い解放感の中、帰る気が起きない珠希は机に突っ伏すと、窓の外に視線を送りながら心中で今日の昼食時間のことを猛省していた。
あの後――星河は我を取り戻すと、そのときの珠希の言動がヒーローみたいでかっこよかったと手放しで称賛してくれた。それはそれで怯えられたりしていないかとナーバスになっていた珠希の不安を打ち消してくれたが、ヒーローは男性がなるもので、女性がなるものはヒロインであるとはツッコめなかった。
なぜなら、あまりに星河の瞳が両方キラキラしていて、そこにヒロインというとergの攻略対象という意味しか浮かんでこない女子高生erg原画家が何か言葉を挟めるわけがないのだから。
とはいえ話は変わるが、実のところ、珠希が男に絡まれたのはこれが最初ではない。
そして、自分の身を守るためにやりすぎてしまったことも一度や二度ではない。
だが今回――いや今回も、女子の新入生から売られた喧嘩を買った最上級生たちが、その命知らずな新入生女子が幼少期に護身術を習うついでに空手を会得し、今でも懇意にしている警察官たちから柔道を仕込まれ、ともに黒帯を所持していることなど知る由もなかった。
とはいえ、鳩尾や顎や鼻といった、鍛えた大の男でも弱点となりうる箇所を正確に攻撃してみせた珠希の腕前はむしろ以前よりも磨かれていた。その原因が日々のトレーニングや手合せではなく、家の土蔵の中から整理がてら発掘した昔の格闘漫画の影響だとは誰も予想できないだろうが、やはり一子相伝の流派は無手で最強と相場が決まっている。
珠希の胸に七つの傷はないし、姓は陸奥でもないが。
――それはともかく、顔覚えられたんだよね、あたし。
これは近いうちに復讐とか闇討ちあるかもなぁ。
実のところ、復讐めいた捨て台詞を吐かれたのもこれが最初ではない。
そして、家族・親類や仲の良い女性警官らを頼ったのも一度や二度ではない。
結果的に教育・
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