第78話 コンテニューは計画的に
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突如、紅桜が突進してきた。銀時は応戦の構えを取った。
だが、弾丸の如き勢いで突進してきた紅桜は銀時の横を素通りし、そのまま動かなくなっていた岡田の胸板に深く突き刺さったのだ。
辺りに鮮血が飛び散り、岡田の苦痛の声が響く。
「何っ!」
突然の光景に銀時は驚かされた。が、彼が驚くのはこれからだった。
突き刺さったかと思った紅桜の刃が今度は岡田の体の中へと吸い込まれていくのだ。あの巨大な刃がついには完全に岡田の体の中へと消えてしまった。するとどうだろうか?
先ほどまで痛々しく見えた傷跡が見事に消え去り、切断された右腕が再生し、その再生した右腕に初期状態の紅桜が持たれていた。
岡田の両目が開き、何事もなかったかの様に立ち上がった。
「ふん、こいつとは上手くやれそうだったんだが、所詮この程度か?」
「てめぇ……一体何をしやがったんだ?」
戻った右腕を適当に動かしながら呟いている岡田に対し、銀時は言葉を放った。その声を耳にし、岡田は銀時の方を顔半分だけ向けて、不気味に笑みを浮かべて見せた。
「なに、簡単な事だ。この男の体を宿り木にしただけの事だ。この男の体は中々気に入ってたんでな。そうそう手放すには惜しかっただけの事だ」
岡田の口が開き、そう告げる。だが、何処か違う。目の前に立っているのは岡田だろうが、まるで岡田じゃない別の人間と話している気分だった。
外見だけは岡田なのは間違いない。だが、中身が完全に別人のそれに近かった。
「お前、岡田じゃねぇな?」
「その通りだ白夜叉」
白夜叉。何故その名を知っている?
少なくとも高杉一派と吊るんでいる岡田ならば知っていて当たり前に思える。
だが、それは目の前に居るのが岡田ならば何ら疑問に思う事はない。
そう、今目の前に居るのはあの岡田似蔵では断じてないのだ。
あるとすれば、あの時銀時が破壊した紅桜の中にその秘密があるとしか思えない。
そう思った時、銀時の中で答えが導き出された。
「お前まさか……桜月か?」
「その通りだ。久しぶりだな、白夜叉」
不気味に微笑みながら岡田の体と一体化した桜月は笑みを浮かべた。完全に岡田の体を支配してしまっている。まさか、桜月はこんな事が出来たってのか?
正直白夜と桜月については銀時自身余り良く知らなかった。ただ、こいつらには意思と呼ばれる物があるとだけは聞いた事はあるが、まさか元の持ち主を殺してその肉体を奪うなんて、正直背筋の凍る話だった。
「まさかなぁ、物だった筈のてめぇが一端の意思を持っちまったなんてよぉ」
「お前のおかげでこっちは飢えに苦しむ羽目になっちまったんだ。こいつの時はまぁそれなりだったが何せ強い奴しか切らないんでなぁ。腹八文目にもなりゃしなかったぜ」
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