言葉
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その言葉を頂けただけで、生き残った甲斐はあったわね。ま、私の事はいいとして……サバタ。絶対存在の力を手放したラタトスクは、再びファーヴニルを支配下に置くべく追いかけて行った。でもさっき言った様に反応が探知できなかったから、あのイモータルの行方も不明よ。しばらく手は出してこないと思うけど……気を付けてね』
「なるほど。とりあえず……お疲れさま、エレン。後の事は俺達に任せて、ゆっくり傷を癒しておけ」
『はい……任せます。それにしても……この光景を見てると思い出す事があるわね。かつてとある思想家が言っていた、“人は国に住むのではない、国語に住むのだ。『国語』こそが、我々の『祖国』だ”と。彼らの祖国、真実、過去は奪われてしまった。サバタ……あなただけが彼らに“言葉”を取り戻す事が出来る。こんな状態だから私が今すぐ駆け付ける事は出来そうにないけど……絶対に負けないでね』
「フッ……俺があんなイモータルに二度も屈するとでも思っているのか? おまえの知る俺は、その程度の奴だったか? ……違うだろう? 俺はもう負けん。何者が相手でも……立ち塞がるものが絶対存在であろうと、俺は二度と負けん! エレンが知る俺は、そういう人間だろう?」
『……くすっ。は……あははは……そうね、そうだったわね。さっきのは戯れ言だったわ。じゃああの時のように……生きて帰って来ること。私からあなたに送る言葉があるとすれば、こういう“言葉”だったかしら?』
「ああ……そんな感じだ。なんだ、言語の一つや二つ奪われた所で、エレンは過去をちゃんと覚えているじゃないか。これならまだまだ余裕だな」
『全くもう……こんな状況でも相変わらず、サバタは人を安心させるのが上手いわね……。……ふぅ……徹夜で戦った後に長く話して、流石に疲れた。あなたのおかげで心も落ち着いたし、少し眠るね……』
「そうか。おやすみ、エレン。良い夢を」
通信切断。無理を押してまでエレンが俺達に戦いの結末を教えてくれた事で、次元世界に束の間の平穏が訪れたのがわかった。ラタトスクとファーヴニルの居場所がわからなくなったのは痛手ではあるが、エレン達との戦闘で致命傷を受けた以上、奴らもしばらく大人しくせざるを得まい。それに……俺は確信している。待っていればいずれ向こうから機会を教えてくる、と。なら俺達はそれまでの間に、悔いが残らない様に全ての準備を完璧に仕上げておくべきだ。
「そんな訳で、おまえ達に俺から教えられるだけの言語を伝授しようと思う」
「フム……言語を奪われるとは、正直な所かなり荒唐無稽に聞こえるが……相手が相手だから事実なのだろう。その対策として我々に新たな言語を習得してもらいたいという、教主殿の意図は把握したぞ」
「はい。エレンさんの話から推
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